リアルイベントで“ソーシャルメディア”活用を
「今年は流動的なことが多く、かなりセンセーショナルなことが起こると思っている」と切り出した本間氏。まずは、昨年11月に開かれたad:tech New York 2011を振り返りながら、1つ目のキーワードとなる「ソーシャルメディア」について話が進められた。
「ひとつ言えるのは、アメリカでは広告主と広告代理店の人材交流が進んでいる一方、日本では広告主がデジタルやITに関して非常に遅れている点」と本間氏は指摘。ソーシャルメディア活用において重要な点とはなんだろうか。
日本人がソーシャルメディアを活用したキャンペーンを行おうとすると、「ソーシャルメディア上にどんな話を載せるか」を考えてしまうが、ad:tech New Yorkで唯一、広告主として登壇したコカ・コーラが伝えたことは、何よりも“STORY”が大切であり、STORYを作るために何をするべきか、一生懸命考えなさいというものであった。
具体的な例として紹介されたのが、コカ・コーラの2つのキャンペーン(「Friendship Machine」「Happiness Machine」)。いずれも特殊な自動販売機を通じてコカ・コーラを買う体験をしてもらい、ソーシャルメディアでフィードバックしてもらうことで、周りのお客さんをマーケティングに巻き込もうとする取り組みである。ソーシャルメディア上で行われたキャンペーンではないが、紛れもなくソーシャルなキャンペーンだ。
「ソーシャルメディアを活用したいなら、リアルイベントに巻き込まないとダメ。ソーシャルメディア上だけでキャンペーンを行うと失敗する」と、本間氏は日本のソーシャルメディア活用の遅れについて苦言を呈した。
- Be shareworthy. Create compelling content that users will want to share.:(シェアしたくなる価値のあるコンテンツを作る)
- Integrate. Make use of all channels. Mobile is a huge and growing opportunity, but only one part of the picture.:(全てのチャネルを使う。特にモバイルの重要度は高い)
- Think horizontally. It’s important to think through cause and effect in the big picture. If there is a problem with bees, it spreads up the chain to affect fruit, which could be a major problem for the world’s largest juice company.:(原因と結果について水平思考で考える)
- More good, not more more. It’s quality more than quantity that matters. BUT the more quality content, the better.:(量より質を重視する)
- Listen. What do your customers or users want? What are they saying about your brand?:(顧客やユーザーの声に耳を傾ける)
- Consistency x Relevance x Scale x Time. Each piece in the chain affects the next.:(一貫性、関連性、規模、時期が次の展開に影響する)
- Collaborate. No one operates successfully in a vacuum.:(共同で行う)
- Do not accept the status quo. ‘Nuff said.:(数値を鵜呑みにしない)
本間氏は社内でソーシャルメディアの話をする際、合コンや結婚になぞらえるという。「今の結婚生活は君にとって何点?」と聞くことが愚問であるのと同様、ソーシャルメディアでも数値ではなく相手が本当に喜んでいるのかどうか、本当に満足しているのかどうかが重要であると強調した。「数値化すると人は満足を覚えるが、喜びや悲しみといった感情は数値化できるものではない」
ソーシャルメディアが与える影響はキャンペーンだけにとどまらない。ソーシャルメディア上のコンテンツが増えれば増えるほど、インターネット全体における企業サイトのシェアは現在進行形で低下している。
Googleではページランクの評価において、ページの読み込み速度が重要な判定基準になっているというのだ。「企業サイトを軽くするためには構造をシンプルに、Flashを使う場合はHTML5に書き換えるといった工夫が必要であり、ソーシャルメディア上で発見した自社に関するワードはサイト内に入れることで、検索機会を増加させられる」