メディアを取り巻く環境を変化させる“ビッグデータ”
2つ目のキーワードは「ビッグデータ」だ。
電通調べによると、2011年(平成23年1-12月)の日本の総広告費は前年比97.7%と4年連続で減少している。この原因について本間氏は「何をやったら成果につながるのかという数値的なデータが乏しいため」と「景気全体が下降しているため」の2つの側面があるのではないかと分析した。
従来のOwned MediaやPaid Mediaだけでなく、Earned Mediaであるソーシャルメディアが台頭する中、Web媒体だけ数値が取れるような状況が加速し混乱が生じているというのだ。
しかし、オンライン・ツー・オフラインへの取り組みやビッグデータの活用が進むことによって、今後はWeb以外のメディアでも数値が取れるようになると本間氏は語る。
「これからはTSUTAYAのTポイントカードとネットの購買を結びつけるCCCの取り組みのように、ECサイトを持っていない企業でもお客さんの行動分析が行えるようになる。さらに、地デジ化や電子書籍の流れによってテレビや雑誌もデジタル化され、配信側にログとしてデータが残るようにもなる。Webで描いていたことが他のメディアに波及する可能性は非常に高いと思っている」
このメディアを取り巻く混乱に立ち向かうために欠かせないのが「ビッグデータ」である。ソーシャルメディアの発展にともなってインターネットクラウドも進化を遂げており、これまで自分のPCではできなかったビッグデータの計算があっという間にできるようになった。
いくつかのデータを元にしたサンプル分析ではなく、ビッグデータを活用することで全データ分析が可能となるというわけだ。
分析活用に加えて、「第三者配信」にもチャレンジしてほしいと語る本間氏。第三者配信とは、メディアではなく広告主のアドサーバーを通じて配信する広告のこと。広告主が入稿先のコントロールをしたり、クリックレートを確認してメディアの効果を測定したりすることができるなど、広告主に取ってのメリットは多い。
「ビッグデータにメリットがあるかどうかではなく、今のうちにビッグデータに向き合っておいた方が良いのではないかというのが私の主張だ。成功のレシピはなく、今年は誰でも参入していい年なので、実験したもの勝ち。ひとりで背負い込むのは無理なので、不得意なところは得意な人を捜すことがポイントだ」と本間氏は述べた。