IT専門調査会社 IDC Japanは、2007年4月に実施した国内アウトソーシング調査の結果を発表した。これによると、2007年4月時点において、ITアウトソーシングを利用している企業(個人事業主を除く)は31.6%だった。IDCが過去に実施した同様の調査では、ITアウトソーシングを利用、もしくは具体的に検討中の企業は、29.3%(2005年3月調査)、37.0%(2006年4月調査)、38.0%(2007年4月調査)であり、同サービスを新たに利用する企業の増加率は減速傾向にあることが明らかになった。
企業規模別のITアウトソーシング利用状況を見ると、従業員規模が大きくになるに従い、同サービスを利用する企業割合が高くなっており、従業員1万人以上(ITアウトソーシング利用率:72.9%)、1,000~9,999人(同60.6%)、100~999人(同44.4%)、100人未満(同21.5%)との結果を得た。2006年4月調査では、従業員規模100人未満企業の利用率が大幅に増加し、全体の利用率を押し上げたが、2007年4月調査では0.9%ポイント増にとどまった。
ITアウトソーシングを利用している企業の同サービスへの投資額は、情報システムの強化や委託業務範囲の拡大を要因として増加傾向にある。一方、大企業を中心としてITアウトソーシング契約を見直す企業は増加傾向にある。過去1年間に同サービス契約の見直しを実施した企業は3割を超え、「契約金額の値下げ」「金額据置でサービス内容や品質の拡大・向上」といった実質的なサービス価格の値下げを行った企業は23.6%に上る。情報システムの安定運用、人材・技術の補填といったITアウトソーシングの価値に対するユーザー評価は良好だ。しかし、26.8%のユーザーがサービス価格に対して不満を持っており、実質的な値下げにつながる契約の見直しを助長していることも事実。
ITアウトソーシングを新たに導入する企業の増加率は減速傾向にあるものの、1企業当たりの同サービス投資額は増加傾向にあり、国内ITアウトソーシング市場は堅調な拡大が予測される。
プレスリリース:2007年 国内アウトソーシング市場:ユーザー実態調査