「場」ではなく「機会」を提供することで、メディアを超えたつながりを創出
ソーシャルメディアを複数運用していくと、個別のメディアを活性化させるだけでなく、メディアを超えたつながりを創出できないか?という課題に悩まれたことはないでしょうか? その課題解決のヒントになる事例をご紹介します。
『SUUMO JUMP』という、スーモがジャンプした距離を競う、スマートフォン向けのゲームアプリがあります。ログインした人達の飛距離を合計することで、スーモをスーモ星に連れて行く「みんなでスーモ星を目指そう!」という連携機能をリリースしました。
開発当初は、リアルな友達同士が面と向かって協力して遊ぶことを想定していたのですが、私たちが全く働きかけていないところで、この機能を使って「みんなでスーモ星を目指そう」というムーブメントが自然発生的に起こりました。1人のカスタマーが「みんなでスーモ君をスーモ星に連れて行こう!そのためにアプリをダウンロードしてくれ!」という発信を2ちゃんねるで起こしました。

画像は http://minna.doorblog.jp/archives/65967117.html に『SUUMO JUMP』を貼り付けて作成
そしてその働きかけがTwitterで拡散され、次々とアプリのダウンロードが促進され、スーモ星を目指すために協力するといううねりが一気に広がりました。そのうねりにより『SUUMO JUMP』のダウンロードが、ユーザー主体で次々に呼びかけられていき、ゲームアプリの平均寿命が3ヶ月と言われている中、『SUUMO JUMP』はリリースから約1年も経過しているにも関わらず、通常時の30倍もの爆発的なダウンロード数を記録することとなったのです。
トリプルメディア論が語られる際に、どの「場」にカスタマーを囲い込むかということが議論されますが、カスタマーが能動的に参加したくなる「機会」を提供することで、「場」を超えたつながり、user generatedな盛り上がりを創出できるということがこの経験を通してわかりました。この知見は私たちにとっては大きな発見でした。
ソーシャルメディアに接触したユーザーは、サービスの利用意向度が高くなる
ソーシャルメディアを活用することによる2つの効用「拡散」「深化」と、「機会」の提供によるuser generatedなつながりについてお話しさせていただきましたが、重要なのは、事業戦略上SUUMOにどのような効果をもたらしたかということです。カスタマーからいただくコメントや画像などから、SUUMOが愛されているという実感は日々得ていますが、定性的な成果だけでなく、定量的な成果も出ています。
調査の結果、SUUMOのソーシャルメディア接触者(ゲームアプリやFacebook、Twitterの公式アカウントなどを利用している人、もしくは知っている人)は、非接触者よりもSUUMOのサイト利用意向度が高いことが自社調査により分かりました。
SUUMOのサイトを利用したことがなくても、SUUMOのソーシャルメディアに接触したことがある人は、住まいを探す時にはSUUMOのサイトを利用してみたいと思う割合が高くなっている。つまり、ソーシャルメディアを介した住まい探しとは無関係のコミュニケーションが、「将来住まいを探す時にSUUMOを使いたい」という感情につながっていることが証明されたのです。
もうひとつ、ブランドイメージについてもソーシャルメディアによるコミュニケーションが大きな成果を上げていることが分かりました。住宅を検討している・いないに関わらず、SUUMOのソーシャルメディアに接触している人は、SUUMOに対するイメージがほぼ全ての項目で高くなっていることが分かりました。

ソーシャルメディアの「拡散」「深化」という機能を活用することで、ソーシャルメディア接触者のブランドに対するイメージが上がり、ブランドに対してよいイメージを持った人は、そのブランドのサービスや商品を利用しようという意向が高まる。潜在層に向けたソーシャルメディアを活用したブランド戦略が、SUUMOサイトを利用してもらうという事業戦略を達成することに効果的であるということが証明されたのです。