ツールと自身のノウハウを活かして顧客を獲得
リスティング広告による集客、ウェブサイト最適化による成約、そしてアクセス解析によるリピートと、総合的なウェブマーケティングのコンサルティングを展開する株式会社グラッドキューブ。CEOの金島弘樹氏以下7名のスタッフはすべて Google AdWords 認定資格の有資格者で、拠点は大阪ながら、その顧客は全国各地の企業へと幅広く展開しています。同社では、現在100社以上に対し、Google AdWords 運用コンサルティングを中心に、ウェブマーケティングの支援を行っています。
「開業当初から Google AdWords のコンサルティングビジネスを始めました。自分が扱う物販サイトで試行錯誤して十分な成果があがったので、ウェブマーケティング支援事業を開始しました。現在のお客様は、物販系が3~4割、情報系が2~3割、あとはサービス系です。最近は、Google オープンビジネスパートナーの賞を受賞したことで、一気にお客様からのお問い合わせが増えました」
以前は同社の顧客であり、金島氏からコンサルティングを受けたことをきっかけに、自身も Google AdWords に関するさまざまなノウハウを身につけたという専務取締役COOの和氣氏は、 Google オープンビジネスパートナープログラムのメリットを次のように語ります。
「5000円~1万円のクーポンがあるので、まずお客様の導入ハードルが低くなります。ここで簡単なテストをして成果が出せれば、ほとんどの場合、ご契約へと繋がります」これに加え、提案書作成ツールも重宝していると金島氏は続けます。
「弊社のお客様はリスティング広告に詳しい方も多いのですが、その上で積極的な提案も求められます。そんな時は、ツールを使って作成した提案書を弊社なりに味つけして提出すると喜ばれますね。提案書は、特に経営者や役職者など意思決定者に対して有効です」
モバイルならではの広告ノウハウで、PCに変わらぬ成約率を獲得
モバイルのウェブマーケティングについてもいち早く研究をしているという同社。スマートフォンユーザーが増え続けている現在では、以前のセオリーが通じなくなってきているといいます。
「以前は、携帯電話特有の絵文字や顔文字を携帯サイトのセールスページにすると、成約率が高く成功しましたが、最近では通用しません。また、検索ネットワークよりは、ディスプレイネットワークのほうが集客できる傾向にあります。たとえば弊社の健康飲料を扱うお客様で、成約単価が8000円程度だったものが、ディスプレイネットワークだけの集客に変更したことで3000円~4000円程度にまで削減できた事例もあります」
モバイルとPCとではアクセスする時間帯が異なるだけで、コンバージョン率に差は見られないという金島氏。PCでは、朝から夕方までのアクセスが多く、モバイルは、お昼休みや終業後、そして深夜にアクセスが多い傾向にあり、その背景にはユーザーのPCとモバイルの使い分けがあるといいます。さらに、こうしたモバイル広告の最近の動向を和氣氏は次のように説明します。
「モバイルはコンバージョン率が低いというイメージを持たれていますが、スマートフォンの普及にあわせて専用の決済システムも普及しています。端末の性能もよくなっているので、消費者もモバイルで手軽に購買をするようになっています。また、これまでPCを使っていなかった層がモバイル端末を利用するようになることで、PC向けの情報を得られる状況になっており、企業にとってのビジネスチャンスは拡大していると実感しています」
スマートフォン向けに、サイトの見せ方を工夫することも重要
成約率をあげるには、サイト側の最適化も必要です。モバイルの中でも、特にスマートフォン向けのランディングページの注意点について、金島氏はノウハウも交えて次のように解説します。
「ユーザーの究極のストレスは『遅い』こと。まず、ストレスのない閲覧スピードが重要です。同様の理由で、ユーザーが購入するまでのページ遷移を3ページにまで減らし、決済(コンバージョン)までのタップ(操作)回数を少なくすることも成果をあげるポイントです。さらに、決済ボタンの周囲の色やセキュリティ認証マークの位置も、スプリットテストすることでコンバージョン率をアップできます。コンバージョン率0.3%のお客様に対して最適化を行ったところ、1%までアップした事例もありますね」
既存顧客からの紹介や検索エンジン、自社主催セミナーなどで積極的に新規顧客開拓している同社では、最初の提案の前に要望をヒアリングしています。そこから、有効だと思われる顧客に積極的にモバイル広告を提案しているといいます。ただし現段階では、モバイル向けのビューをサイトに用意している顧客はほとんどいないと金島氏はいいます。
「スマートフォン向けサイトを用意しているのは、弊社のお客様の場合1%程です。10%くらいが興味をお持ちで、そうでないお客様は、モバイルは成約率が低いというイメージを持たれているようです。その反面、セミナーにいらっしゃる方々のほとんどがスマートフォンを使っています。セミナーで『スマートフォンは有効ですか?』という質問をよくいただくのですが、『お客様ご自身で使っているのですから、消費者もちゃんと利用しているはずです』とお伝えし、まずは、モバイルからアクセスする消費者の存在に気づいてもらうようにお話しています」
Google では、サイトがスマートフォンでどう表示されるかを確認し、最適化の状態を診断するツールやスマートフォン対応のサイト構築を支援するサイト「GoMo」を開始しています。
「リスティング広告を積極的に展開されている方は、コストパフォーマンスを重視されます。小規模の企業やビジネスの場合、新たにスマートフォン向けのサイトを用意する予算と、その効果をシビアにとらえて、導入に踏み切れないところが多いと感じています。しかし、現在はスマートフォンへの転換期で、ある程度投資をしなければならない時期だと考え、2012年11月にはスマートフォン向けの広告に関するセミナーも開催予定です。まずは自分たちもスマートフォンに最適化したサイトを作るなどして、もっとお客様にアピールしていきたいと思っています」
ノウハウをオープンにし、ウェブマーケティング市場を活性化していきたい
経営陣自ら陣頭に立ちマーケティングに取組み、最新の情報やノウハウを社内で共有している同社。今後の展望を和氣氏は次のように語ります。
「ウェブ広告は種類も多く、運用も複雑になってきています。同業他社ではノウハウをあまり公開しませんが、弊社ではノウハウを隅々まで公開していきたいです。オープンにすれば、弊社の知名度も上がります。またお客様自身がトライできるようになれば、その複雑性の理解が進むと思いますので、自分たちにもチャンスが訪れます。情報を公開しつつ『なんでもできます』ではなく、無理なものははっきり『無理です』と正直に対応することで、信頼を得ていきたいです」
さらに、金島氏は今後3年で1000社の獲得を目指すといいます。
「時代とともに、新たな指標やビジネスモデルが登場すると思いますが、1000社のお客様がいれば、変化にも柔軟に対応できます。なぜなら弊社では顧客のデータを詳細に管理するノウハウがあり、常に顧客の意見をフィードバックする仕組みがあるからです。新たな変化であるモバイル広告でも、たとえば1日に3人がモバイルからアクセスしてきたとすると、年間で1000人です。1日で見ると見落としがちですが、1000人分の機会損失は侮れません。モバイルユーザーのニーズがはっきりあるということを、企業のウェブ担当者も、多くの代理店のみなさんも理解してほしいです。そうすることでウェブマーケティングの市場も活性化していくことを期待しています」
- 社名:株式会社グラッドキューブ
- 所在地:大阪市
- 設立:2008年
- 事業内容:広告代理業、ウェブコンサルティング、リスティング広告運用代行、アクセス解析ほか