今の企業サイトでは物足りない! コンテンツ重視のオウンドメディアへ
――クライアント企業は、オウンドメディアについてどのような姿勢ですか?
福山:ここ1、2年の傾向として、オウンドメディア業界は非常に盛り上がっています。クライアントは、広告への投資を控え、自分たちの持つメディアを最大限に活用していこうと、積極的に投資を行なっていますね。その中で、「全体の中でWebをどうしていったらいいのか」という前向きな迷いが生まれています。
これまでWebを担当する部隊は、組織の中でも独立していることが多かった。しかし今は、マス広告やリアル店舗との連携を考えています。とりあえず情報を並べておく、24時間問い合わせを受け付けるだけのサイトではなく、自分たちが持つメディアなんだというふうに意識が変わっています。
後藤:本にも書いたとおり、我々は「カタログサイトからの脱却」を訴えています。日本企業のサイトの多くは、ただ情報を載せただけのカタログのようなサイトです。そうではなく、店舗の店員さんのように、自分たちの言葉でプレゼンテーションするのがオウンドメディアです。コミュニケーションし、そこに絆のようなものを生み出したい。わざわざ検索して自社サイトに来てくれたユーザーをどうおもてなしするか、非常に重要だと考えるクライアントは少なくありません。
――オウンドメディアはやはり、大企業向きの考え方なのでしょうか?
福山:企業規模問わず、やりたいという人は多いと思います。しかしこの厳しい時代、まだ効果が見えないオウンドメディアに率先して投資ができるのは、体力のある企業からというところではないでしょうか。しかし、世界をマーケットにした中小企業も少なくありません。そういった企業こそ、オウンドメディアを積極的に活用するべきだと考えます。
後藤:これまでの自社サイトでは、「やりつくした」という企業も少なくありません。また、ソーシャルメディアやデバイスの変化に伴い、企業の担当者よりもユーザーのほうがネットリテラシーが高くなり、「カタログサイトでは物足りない」と思われているのが実情です。次の段階へと進化するためにも、オウンドメディアに早くから取り組むというのは、有効な手段の1つでしょう。
それから福山さんも言ったように、グローバル戦略にも欠かせません。欧米各国のグローバル企業は、オウンドメディアの活用が非常に進んでいます。世界中からアクセスできるオウンドメディアに、どういった役割を担わせるのか。グローバル市場で戦う企業ほど、考えていかなければならないことだと考えます。