コマースの主役は「消費者」 個のレベルでの顧客対応が急務
中嶋氏は、まずコマースにおける「顧客」の変化について言及。スマートフォンやソーシャルメディアにより、消費者はさまざまな情報を入手。「45%の消費者は購買前にソーシャルメディアや価格比較サイトで情報を収集する」という調査結果もある。顧客は購買行動の主導権を握る「賢くスマートなお客様」となり、コマースにおけるビジネスモデルさえ変化させているという。
この動きは、保険、製造業、銀行、通信など業種にかかわらず、またB2B、B2Cなどビジネスモデルを問わず起きており、各社それぞれ、生き残りをかけたチャレンジを行なっている状況である。
具体的に企業に求められている対応とは、個のレベルでの顧客対応である。これが遅れた場合、ネガティブなクチコミによる突然の販売数の激減、顧客離れ、コストの増大、販売機会の喪失といったことにつながりかねないとのことだ。
経営者も課題と認識 迅速かつ柔軟な対応が可能なコマースへ変化を
経営者も同様の課題認識を持っている。IBMの調査によれば、今後3~5年の「顧客満足度向上のために必要な改革」についてのCEOの回答で、グローバルでも日本でも高い割合を占めたのが「個々の顧客ニーズの理解向上」(G: 72%、J:83%)、「市場ニーズへのレスポンス・タイムの短縮」(G:72%、J:84%)の2つとなった。
しかしながら、旧来型の硬直的なコマースの仕組みでは、刻々と移り変わる顧客ニーズに対応することは難しい。「調達」「マーケティング」「販売」「サービス」すべての業務において「顧客中心」の考え方を盛り込み、迅速かつ柔軟な対応が可能な「スマーター・コマース」の構築が急務であると中嶋氏はいう。
IBMでは「調達」「マーケティング」「販売」「サービス」それぞれに対応する、ソフトウェア・ソリューションを提供。現在、続々と導入企業が増えている。次ページから、具体的な導入事例を見ていこう。
導入初年度から売上5%アップも! グローバル企業のIBMソリューション導入事例
[導入事例1] 導入初年度から売上を5%アップ……SNS Bank
オランダで個人・企業向けに金融商品を提供するSNS Bankは、「Unicaソリューション」を導入。目的は、オンライン/オフライン問わない、インバウンド・マーケティング・システムによる見込み顧客の売上増加だった。
導入成果は、初年度から売上5%アップ、クレーム処理率が0.1%以下に減少。名実ともに、顧客満足度が向上したといえる。
[導入事例2] 急成長に応じたオーダー管理が可能に……GAP
米国大手アパレル企業のGAPは、「Sterling Selling & Fulfillment ソリューション」を導入。オンライン販売は、年々2倍もの勢いで収益が急成長を見せていたが、それに応じた柔軟性と拡張性の高いオーダー管理に、既存システムでは対応できずビジネス成長の障害となっていた。
導入により、複数ブランドでの顧客情報の一元管理が可能に。コールセンターへの正確な在庫情報を提供することでサービス品質が向上するなど、成長スピードに応じたコマース・システムが実現した。
[導入事例3] 各国のニーズに対応しながら一元管理……IKEA
スウェーデン発、世界最大級のインテリア・家具販売企業のIKEAは、「WebSphere Commerce」ソリューションを導入。同ソリューションは、多言語、他通貨など、国ごと異なるニーズにきめ細かく対応しながら一元管理できるのが特徴だ。
導入により、最小限のコストで短期間に、統一ブランドイメージのもと、世界25ヶ国以上のオンライン販売サイトを単一の顧客インタラクティブ・プラットフォームで構築することができた。
まとめ
中嶋氏は最後に、「IBMはテクノロジーでスマーター・コマースを実現できる最適なパートナーだと自負しています。ぜひ、ご相談いただきたい」と述べ、講演を締めくくった。
約500名が来場し、盛況を博した「スマーター・コマース・サミット2012」。全5セッションのプログラムのうち、一部の講演資料がDLいただけます。