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さらなる飛躍を目指しWeb戦略に本腰を入れた「ビッグエコー」

 最後に、わずか1年ほどで大きな成果を上げているというカラオケ店「ビッグエコー」のO2O施策をテーマに、第一興商 執行役員 店舗事業本部副本部長の小田切一央氏が登壇した。

株式会社第一興商
執行役員店舗事業本部 副本部長
小田切 一央 氏
株式会社第一興商 執行役員店舗事業本部 副本部長 小田切 一央 氏

 ビッグエコーや通信カラオケシステム「DAM」、15業態にも及ぶ飲食事業などを通して生活者に親しまれている第一興商。特に全国300店舗を展開するビッグエコーは、競争の激しい業界ながら、長らく高いシェアを誇っている。

 だが、実は昨年まで、同社はビックエコー独自のWebサイトを持っていなかったという。企業としては多岐に渡る事業を展開しているため、自社サイトの中の一事業としてカラオケ事業に関するページを設けていた。しかし、多くの人が日常的にWebに接触している現状や、競合企業の取り組みを踏まえ、「一番後発になってしまったがWebへの投資は不可欠」(小田切氏)と判断、昨年7月にオープンした。

 ビッグエコーは、旗艦ブランドであるアルファベット表記の「BIG ECHO」に加え、手ごろな料金設定で親しみやすさを重視したカナ表記の「ビッグエコー」、そして特に激戦区の繁華街でお得感を打ち出している「ビッグエコー25」の計3ブランドを運営している。小田切氏によると、カラオケを利用するシチュエーションは、学校帰りや飲み会後などに駅前の看板やネオンを見渡し、知っている店舗に入るというケースが多いことから、看板やマス広告などでブランドが知られていることが重要だという。

 言い換えれば、これまで同社は認知度の向上に集中投下していたので、Web施策に着手しなくても業績を伸ばすことができたわけだ。「だが、特に若年層のスマートフォンを中心とするオンラインへの接触状況を見ると、今後のさらなるシェア拡大にはWebを活用した継続的な関係性の構築が必要だと考えた。また、この数年で“お一人様”利用が急激に増加し、色々な顧客利用シーンが増えてきている。こうした変化に対応するためにも、より多くのチャネルで顧客に接することが欠かせないと判断し、Web施策に大々的に着手した」。

“ビッグエコーマン”の話題でマス広告やSNSから店頭へ誘引

 単なるWebサイトの立ち上げだけでなく、スマートフォンを介した店舗への誘引などオンラインとオフラインを行き来する包括的なプロモーション施策の実現も加味し、同社はWeb戦略のパートナー選択に際して4つの条件を設けたという。コスト、サポート体制、セキュリティ、そして信頼性だ。この4点のバランスを考慮し、6社を比較検討した結果、NTTコミュニケーションズへの依頼を決定した。

 まずWebサイト、次いでモバイルサイトを開設し店舗検索や予約システムなどを整備。NTTコミュニケーションズのソリューションにより、情報の更新やSEO対策などに手間がかからないながらもPVはほどなく以前の10倍に。Web予約は新たな収入源となった。

 モバイルサイトの開設・運営には、「スマホ集客ソリューション」と「モバイルウェブ」を導入。効率的なメルマガ配信により、会員数は1年で56万人にも達し、これを介した売上は月間3,000万円以上に。また、スマートフォンを会員証とする制度を導入したところ、予想以上に会員化が進んでいる上に、利用率が既存のカード会員の7%に比べて20%と高く、常に携帯しているスマートフォンならではの事例となった。

 「特にモバイルに関しては社内にノウハウがなく、担当者も一人という厳しい状況でメルマガやスマートフォン対策に一気に着手するのは懸念が大きかった。効果の見込みも半信半疑だったが、ここまでの結果が得られていることに手応えを感じている」と小田切氏は語る。

 個別の施策に関しては約1年の運用を通して改善を続けており、モバイルクーポンの利用率も開始時は0.08%だったが直近では1.29%と、確実に向上している。同時に、属性ごとの利用状況を次のキャンペーン内容に反映させている。

 サイトを整備した後、昨年11月に同社はオンラインでのユーザー動向を加味した本格的なキャンペーンに着手。タレントのローラ、オリエンタルラジオの藤森慎吾らが出演するテレビCM上で、彼らとともにカラオケを楽しむビッグエコーのキャラクター“ビッグエコーマン”への注目を促したのだ。狙い通り、SNS上では誰が扮しているのかが話題になり、店頭で放映する動画で正体を明かしたことから、店頭への集客に効果を発揮したとともに話題にもなった。

 今後の目標は、早期にメルマガ会員100万人を達成し、Web施策による年間売上の底上げを目指すことだという。この春から開始したFacebookとTwitterの運用を通して、ソーシャルメディアを介したファン作りにも力を入れていく。小田切氏は「生活者がオンラインとオフラインを行き来する今、店舗を軸にマス広告やキャンペーンなど様々な接点で顧客とのコミュニケーションを創出し、サイトやSNSなどのオンラインを介してまた店舗への誘導を促していくことができる。新たなメディアが加わることで、さらなる店舗への流入を見込んでいる」と語り、講演を締めくくった。

資料ダウンロード

 NTTコミュニケーションズ株式会社の塚本氏、株式会社第一興商の小田切氏の講演資料ダウンロードが可能です。ダウンロードはこちらからどうぞ(※クリックすると別サイトへ遷移します)。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2012/08/27 14:01 https://markezine.jp/article/detail/16159

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