ソーシャルメディアは、ブランド戦略を実現するための機能でしかない
SUUMOでは積極的にソーシャルメディアを活用していることから「ソーシャルメディア戦略」について聞かれることがあります。しかし、SUUMOには「ソーシャルメディア戦略」はありません。あくまでソーシャルメディアは「ブランド戦略」を実行する上での一機能と捉えているからです。
事業戦略に立脚したブランド戦略の戦術としてソーシャルメディアを活用していかないと、組織の中でのソーシャルメディアの役割が不明瞭になり、活用しきれないままに終わってしまう可能性があります。実際に、そういった残念なケースを耳にすることが多々あります。
私たちのケースでいえば、SUUMOのブランド戦略は、ソーシャルメディアを活用して潜在層とのエンゲージメントを築くことですが、最終ゴールはその先にあります。事業目標であるSUUMOメディアを利用して住まい探しをしていただくことです。
継続的なコミュニケーションにより、「エンゲージメントを築く」=「SUUMOブランドを好きになっていただく」ことで、いずれ住み替えたいという欲求が起きた時、一番にSUUMOを思い出してもらい、SUUMOメディアをご利用いただく人を増やすことです。その事業目標達成の手段としてソーシャルメディアを活用しているからこそ、実行のための投資も行い、結果を振り返るというサイクルを回すことを組織として行っているのです。
ソーシャルメディア内に閉ざしたゴールを設定するのではなく、事業目標を達成するためにソーシャルメディアをどう活用するのかを考えることが、ソーシャルメディアを真に活用するためには必要だと感じます。
事業戦略が変われば、ブランド戦略もコミュニケーション手法も変わっていく
これまで6回の連載を通じて、ソーシャルメディアを活用したブランド戦略とそこから導き出されたノウハウをご紹介させていただきました。私たちには、「SUUMOメディアの利用者を増やす」という大きな事業目標があり、その目標を達成するために「潜在層とのエンゲージメントを構築する」ブランド戦略を掲げ、ブランド戦略を実現する手段として、ソーシャルメディアを活用しています。
当然、事業戦略は企業によって異なりますので、今回ご紹介させていただいたSUUMOの事例も全ての企業にそのまま適用できる戦略というわけではありません。しかし、これからソーシャルメディアを活用してみたいけれど、効果やリスクが見えず、なかなか決断がする材料をそろえられないという担当者の方にとって、今回の記事が少しでもヒントになればと思い執筆させていただきました。
ソーシャルメディアの素晴らしさは、企業と個人が同じ立場で双方向にコミュニケーションできることだと思います。こちらが投げかけたことがうねりのように広がって行く様子、寄せられるコメントなど、自分たちのブランドが世の中からどういう評価をされているのかを肌身をもって感じることができることができるのはソーシャルメディアならではだと思います。この経験を多くの方々に感じていただくきっかけになりましたら幸いです。
本連載においても、毎回、いいね!やtweetなどソーシャルメディアを通していただくフィードバックに励まされる一方、どんなフィードバックをいただくのかドキドキしておりました。
つたない文章にも関わらず半年間、全6回にも及ぶ連載にお付き合いいただきありがとうございました。 今後もSUUMOの取り組みにご注目ください。