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次世代広告エージェンシー最新動向(AD)

急拡大するスマートフォン広告市場を攻略せよ!秘訣はネットワーク広告での顧客囲い込みと統合運用の視点

 スマートフォンの急速な普及にともない、スマートフォン広告市場も急拡大している。2012年度の市場規模は700億円前後とも予測されている。スマートフォン広告の施策においては、より専門性の高い施策の実施が求められる。そこで、今回は業界で先駆けてスマートフォントレーディングデスクを開設したオプトのスマホアドソリューションプロジェクトマネージャー 千島航太氏に最新動向をうかがった。

SEMとネットワーク広告がスマートフォン広告の要

 2016年には日本における人口普及率が70%を超えるとされるスマートフォン。市場が急速に拡大するスマートフォンだが、ユーザーが利用するサービスが多様化し、単一メディアだけでユーザーを獲得するのがむずかしい現状にある。つまり、複数メディアへ一括配信・管理するネットワーク広告でのアプローチが一層重要になっている。

 一方で、SEMが重要なのは感覚的に理解しやすいだろう。例えばAndroidの端末では、Googleの検索バーが標準装備されているし、iPhoneからも検索画面を簡単に立ち上げることができる。「常に持ち歩く」という使い方はフィーチャーフォンと同じだが、スマートフォンはマルチタスクで(横に並べて)比較検討しやすく、検索エンジンから得られる結果も満足のいくものであり、より検索行動をとりやすくなった。

国内スマートフォン広告市場規模の推移予測
※出典:各社からのヒアリングによるオプト調べ (リワード含むアフィリエイト広告除く)
・縦軸:広告投下費 横軸:時間
・2012年1月(左端)~2013年6月末(右端)までを表す(現在は中央のあたり)
・ネットワーク広告に含まれるのは、ADNetwork/DSP/3PAS/Recommend/RchMedia/Video

スマホの普及にともない、ユーザーが閲覧するサイトが分散

 それでは、なぜネットワーク広告が重要なのか、考えていこう。結論を言ってしまうと、スマートフォンユーザーのサービス利用の仕方が変化した事が要因だ。

 下の表は、フィーチャーフォンとスマートフォンサイトの利用者数のランキングである。フィーチャーフォンの利用上位サイトは検索/ポータル/キャリア系。一方、スマートフォンの利用上位サイトは1位・2位こそ検索サービス(Yahoo!/Google)だが、その後はソーシャル/専門サービスが上位に並ぶ。

フィーチャーフォンとスマートフォンサイトの利用者数 (単位:千人)
※出典:コムスコア社「モバイルオーディエンスレポート」より

 スマートフォンの特徴は、ユーザーが端末機能を自由に拡張できること。つまり、端末自体がユーザーオリジナルのポータルになる。ユーザーは自分がよく利用する専門サービス(アプリ)をデスクトップに設置して、直接利用する機会が増える。その分、ポータル(キャリア)サービスの利用は相対的に減少しやすい。ユーザーニーズの多様化とあいまって、利用サービスは更に分散していくため、特定メディアだけではリーチ不足に陥りやすくなるのである。

 かつてのPCやフィーチャーフォンにおいては、限られた大型メディアをいかに攻略するかがプロモーション成功のカギであった。それとは異なり、スマートフォンでは単一メディアごとではなく、ネットワークとして束ねて広告出稿・管理していく事がより重要になる。

ネットワーク広告の矛盾-配信先拡大と重複排除に同時に取り組む

 CV数を増やすためには、配信先を拡大し、露出(imp)機会を増やす必要がある。つまり、配信するネットワーク数を増やすのだ。逆に、掲載面やネットワーク間の重複が増えると余分なコストが発生しやすくなってしまう。だから、ネットワーク運用担当者は「配信先拡大+重複排除」という矛盾に取り組まなければならない。掲載面の重複が増えると、なぜ余分なコストが発生するのか、考えていこう。広告が表示されるまでの大まかな流れを見てみたい。

 上の図からもわかる通り、同じ掲載面に対して複数の買い付け(入札)希望があった場合、eCPM(eCPM=CPC×CTR×1000、メディア収益を表す指標)が高い広告が選ばれる。同一掲載面に対し、二重三重に入札するとコストが増加する可能性が見てとれるだろう。つまり、配信するネットワーク数が増えるほど、同一広告案件で同一メディアへ入札するリスクは高まる。DSPとADネットワークで細かい仕組みは異なるが、考え方は一緒ととらえてよいだろう。すなわち、「配信先拡大(CV数増加)+重複排除(コスト抑制)」を突き詰めた場合、理想形はMECEな状態、つまり漏れがなく、ダブりもない状態だ。

ネットワーク広告で広告表示回数を増やすには、メディア収益を高めよ

 CTRを改善する事で、1:imp増加(結果として、CV数増加)、2:コスト抑制の2つの効果が期待できる。スマートフォンでは、いまだCPC課金のネットワーク広告が主流なので、CPAを合わせるためにはCVR改善に目がいきやすい(CPA=CPC/CVRのため、分母のCVRが大きくなるほどCPAは下がる)。CTRとCVRはシーソーの関係になりやすく、CVRを上げるとCTRが下がりやすい。

 例えば、バナーにクリックインセンティブを付与した場合、クリックが目的となり、その後のCVに繋がりづらい。逆に、バナーの訴求ポイントに絞ると、反応するユーザーが狭まり、CTRは下がるが、サイトへ来訪したユーザーはCVに繋がり易くなりCVRが上がりやすくなる。

 下の図のように、ネットワーク広告において広告表示回数を増やしたい場合、eCPM(eCPM=CPC×CTR×1000、メディア収益を表す指標)を高める必要がある。つまり、CPC課金の場合でも、CVR改善だけでなく、CTRも高める事を念頭に置くべきだ。

eCPMの考え方
※セカンドプライスオークション制が普及しても、CTRの重要性は同様

 また、下記の事例からもわかる通り、1:CTRを上昇させることで、2:CPCが下がる+3:同時にimpが増加するという好循環を実現できる。

CTR改善によるimp増加とCPC抑制事例

スマホ広告設計のカギはユーザーの接触シチュエーション

 では、スマートフォン広告において、いかにCTRを高めていけばいいのだろうか。その手法はあまた存在するが、スマートフォンならではの検討課題の1つがシチュエーションだ。ユーザーは1日中スマートフォンを持ち歩くからこそ、ユーザーへ接触するシチュエーションが非常に重要になる。

 例えば、平日昼間に乗換案内を利用するユーザーは、「移動する直前や移動中に交通手段を探している忙しいユーザー」である可能性が高いと想定できる。もし、実際に忙しいユーザーだった場合、たとえピンポイントでユーザーニーズに合ったターゲティング配信できたとしても、スルーされるかクリックしても情報を消化する前にサイトから離脱してしまう確率が高い。忙しい事に加え、サービスを利用する目的がハッキリしている可能性が高いからだ。このケースの場合は、シンプルなメッセージでアプローチするのが良さそうだ。

 一方、自分のタイミングで開封できるメールや、比較的くつろいだ状態や目的なく暇潰しで閲覧することも多いブログなどでは、広告接触態度が良好なユーザーが多い。21時~午前2時頃にかけては、更にこの傾向が顕著になるかもしれない。

 このように、スマートフォンにおいては接触するシチュエーション(曜日、平日・祝祭日、時間帯、イベント、etc.)によりCTRが大きく変化しやすいため、シチュエーションを加味した設計が重要になる。

スマートフォンネットワーク広告攻略のカギは、トレーディングデスク

 来年にかけて、スマートフォン広告においてもDSPやレコメンドリターゲ、第3者配信などのアドテクノロジーが急増する。システムや裏側の仕組みを含めたアドテクノロジーの知識がなければ、みすみす機会損失を増やすことになるだろう。だから、これから対スマートフォン/アドテクノロジー/メディア特性理解/情報収集力を含めた深い専門知識がますます重要になってくる。

 ただし、専門知識だけでなく、重要なのは施策の実行力。つまりはオペレーション力、すなわち一貫した運用体制が必要になってくる。運用設計が細かくなるほど人力だけでは対応しきれないため、専門ツールも必要になる。そこで、スマートフォンネットワーク広告を攻略するために、専門知識・体制・ツールを有したトレーディングデスク機能の必要性が浮かび上がってきた。

スマートフォンマーケティングのスキーム図

 トレーディングデスクとは、直訳すると取引の売買・交換を取りまとめる人・組織・機能のこと。特にネット広告業界では、アドネットワーク・DSPなど、管理画面から入札(買い付け)・入稿(クリエイティブ)・ターゲットオーディエンス設定・キャンペーン設計などが可能な広告商品をまとめて統合管理し、広告効果を最大化させるための組織を指すケースが多い。現時点では「人」による統合運用組織を指す場合がほとんどだが、今後は効果最大化の過程で、より細かい運用設計・ロングテールのカバー・統計データ処理などへの対応が必要になり、「ツール(機械)」を合わせたハイブリッド型のトレーディングデスクが増えていくだろう。

 広義において、トレーディングデスクは、(ネットワーク広告をCPAベースで最適化するにとどまらず)SEMはもちろん、アトリビューション分析による予算再配分や、レコメンドリターゲティング、場合によってはリッチメディア広告(動画)配信の企画/制作/KPI設定なども対象範囲に含まれる。

 オプトではスマートフォン専門トレーディングデスクを新設し、スマートフォンのネットワーク広告における統合運用サービス提供を開始。また、弊社グループ会社のエスワンオーインタラクティブでも、DSPを活用した運用コンサルティング「Android Marketing Platform」を提供しており、スマートフォンでは業界の先駆となるアトリビューション分析を提供している。

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この記事の著者

株式会社オプト(カブシキガイシャ オプト)

1994年設立。インターネットのマーケティング戦略を総合的にカバーするeマーケティングカンパニー。総合的なソリューションと各プロダクトごとの高度なノウハウから最適化の為の提案―管理までワンストップで提供するプロフェッショナル集団。
【事業内容】
「広告・ソリューション事業」「データベース事業」「ソーシャル&コンシューマ事業」「海外事業」

・株式会社オプト
・「ADPLAN」

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

千島 航太(チシマ コウタ)

株式会社オプト メディア開発本部 スマートフォンアドソリューションプロジェクト プロジェクトマネージャー。2007年慶應義塾大学経済学部卒業、同年4月に株式会社オプト入社。モバイルセールス部リーダーを経て、2010年1月にモバイル企画開発部の部長に就任。2011年7月からメディア開発2部の部長となり、現職へ。現在はスマートフォンのネットワーク広告、アドテクノロジー対応を中心としたスマートフォン戦略立案と実行を担っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2012/10/31 11:00 https://markezine.jp/article/detail/16533