『ビッグデータ時代の新マーケティング思考』
「ビッグデータがビジネスを変える」と言われるなか、マーケターはその思考をどう変えていけばいいのか、次世代のマーケティングの姿を、横山隆治・海老根智仁・鹿毛比呂志の三氏が考察し提案しています。
「本書が取り上げるのは「マーケティングの再設計=マーケティング・リモデル」である」という一文に、本書のコンセプトが集約されています。
本書の核心はいくつかありますが、横山氏が担当した第2章「ターゲティングの再定義」に注目です。広告コミュニケーションにおける従来のターゲティングが「実は不思議なもの」であったとして、ひとつひとつの概念を検証し直しています。“「枠」から「人」へのパラダイムシフト”という横山氏が指摘してきたアドテクノロジーがもたらす変化についても、この文脈の中であらためて問い直され、未来のマーケティング像へとつなげていくさまは、まさに本書の白眉と言える部分です。
『LINE仕事術』(日経BPムック)
「LINE」は若い人たちが使っている親しい友達どうしのコミュニケーションツールというイメージを持っている人にとっては意外な切り口で全編が構成されているムックです。
ローソン、日清食品、日本コカ・コーラなどの企業のLINE活用事例を紹介しつつ、ループス・コミュニケーションズの斉藤徹氏による「Facebookとはここが違う」をはじめとして、スタンプ誕生の舞台裏、LINEはiモードの再来?など、さまざまな角度からサービスを分析しています。
仕事術的な部分では、電通の「LINE会議」といった実例とともに、LINEで部署のグループを作る方法といった使い方も図入りで紹介。各種調査データからLINEを分析するコーナーもある、盛りだくさんの1冊です。
『ソーシャルもうええねん』
TwitterとFacebookの頭文字が描かれたちゃぶ台を、著者の村上福之氏がひっくり返しているカバーイラストが目を引く1冊(装画は佐藤秀峰氏)。
離婚して元嫁から「もらった」慰謝料で起業したものの、執筆もネットビジネスの経験も皆無ななかで、CNETブログで執筆をスタートし、3年後に「アルファブロガー・アワード」を受賞した村上氏。その独特の醒めた視線がソーシャル、ネットビジネス、災害、募金活動、会社勤め、起業、プログラミングにそそがれ、前向きでもあり後ろ向きでもある絶妙な間とトーンでつづられたコラムの数々に次第に引き込まれていきます。
「ソーシャルゲーム業界の未来は、たぶん、明るいでしょうが、僕は、もういいです。」 この感じ、読んでみるとわかります。