技術的な話題先行の「ビッグデータ」を、マーケター向けに斬る!
ビッグデータという言葉が、世の中のトレンドになっています。では、これまでのIT関連のトレンドとの違いは、どこにあるのでしょうか。
ビッグデータがBPR(業務プロセス変革)、ERP(基幹業務の統合化)やSCM(組織間関係)などと明らかに異なる点は、それが主に組織変革を目指すものではなく、マーケティング活動を変革する方向性を持っていることです。
ところが、巷間ではHadooopとかMap/Reduceなどのテクニカル・タームの解説ばかりが目立ちます。われわれマーケターが知りたいのは、そのような技術的イシューではなく、市場や社会との関わりとかマーケティングへの応用とか、その辺りなのではないでしょうか。
そこで、技術の詳しい解説は他に譲り、本連載ではターゲットをマーケ人(マーケター)に定め、経営学、経済学、社会学などの知見を交えながら平易に書いていくつもりです。どうぞお気軽にお付き合いください。
イントロダクションとして、ビッグデータの特性である「データ量」と「急激なデータの増大」を取り上げます。まずは、「データ量」についてです。ビッグデータは、単なる量の多いデータのことでしょうか? では、10の何乗のデータならビッグデータと呼んでいいのでしょうか? テラでしょうか、ペタでしょうか。
そう考えていけばわかるように、これは絶対的な基準で測るべきものとはいえないようです。ただし、企業がこれまでコントロールしきれなかった大量のデジタル・データであることだけは確かです。
賢い消費者のさらに上を行くために、ビッグデータを活用する
マーケティング・リサーチで注目されているのが、ビジネスアナリティクスの高度化です。その背景として挙げられるのは、企業と消費者間の情報格差の消滅です。
Web上の口コミサイトや価格比較サイトなどを通じて消費者が賢くなり、企業の4P情報を知り尽くしたうえで価格交渉をすることができるようになってきています。かつてのように、家電量販店の店頭で高めの売価表示をし、電卓をはじいて値引きをしようにも、最低価格を知っている消費者がもはやだまされることはありません。
マーケターは賢い消費者の上をいかなければなりません。それを可能にするのが、データを持つ側にしかできない、ビッグデータの分析・活用なのです。
商品管理の伝統的な手法である「ABC分析」と比較してみましょう。ABC分析の本質は、コントロール可能性をABCの濃淡で区別することだといえます。
eコマースの時代になって、ロングテール部分の購買履歴管理が脚光を浴びましたが、リアルな店舗でも、ポイントカードなどを活用してPOSデータをID付にし、そこにビッグデータのテクノロジーをビルトインすることで、リアルタイムに精緻なRFM分析ができようになりました。
分析対象の濃淡が均一化され、あらゆるデータが分析の射程に入ってきたといえます。今後、GPS情報と店頭在庫や売れ筋情報の連携など、ビッグデータ間のインタラクションも活発化していくものと考えられます。
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