パート2:今年注目を集めたO2O型プロモーション
今年、日本の広告業界で話題になったO2O(Online to Offline)。世界に目を転じてみても、特にQRコードを活用したO2O型プロモーションは増加傾向にあります。このパートでは、O2Oを活用した巧妙な事例を3つ紹介します。
コーヒーカップのスリーブにQRコード付ニュースを印刷して、新規購読者を開拓
国名:アラブ首長国連邦(UAE)/業種:新聞社/企業名:Al Nisr publications/参考資料(YouTube)
中東UAEで最も読まれている英字日刊紙『Gulf News』による、購読者数の増加をねらった事例。同社はターゲット層が朝コーヒーを飲むタイミングで「新聞を読む習慣」があることに着目し、国内の大手コーヒーチェーンとタッグを組んでプロモーションを企画。

お客さんがコーヒーチェーンでホットコーヒーを注文すると、店員は専用の印刷機でコーヒーカップのスリーブ(紙製ホルダー)にニュースのタイトルを印刷します。印刷されるのは、Gulf NewsのTwitterアカウントがTweetしたもの(すべてWeb版のニュースタイトル)。該当のニュース記事にアクセスできるQRコードもスリーブに印刷されており、お客さんはコーヒーを飲みながら携帯でQRコードを読み取って、記事の詳細を閲覧することができるという仕様になっています。
この施策の結果、開始2週間でニュースサイトへのアクセス数は41%増えて、新聞の購読者数も2.8%アップ。ターゲットのインサイト・商材の利用シチュエーションを捉えた見事なプロモーションですね。
“太陽光が演出する”ランチタイム限定のQRコードで
韓国大手スーパーが売上を25%アップ
国名:韓国/業種:スーパーマーケット/企業名:Emart/参考資料(YouTube)
正午から午後1時までのランチタイムに買物客が著しく減少し、売上が思うように伸びないという課題を抱えていた韓国大手スーパー Emart。同社は、「ランチタイム限定で特別な体験を顧客に提供すること」をコンセプトに、『Shadow QR Code』なるプロモーションを企画。屋外に設置されたこのQRコードは、“太陽の傾き加減”により正午から午後1時までの時間帯にだけスマートフォンで読み取りが可能になるという代物。

このQRコードをユーザーがスマートフォンで読み取ると、「Sunny Sale」というページに遷移し、もれなく12ドル分のクーポンをゲットすることができます。ユーザーはそのままスマートフォン経由で、クーポンなども使ってEmartに商品を注文して、自宅に配達してもらうことができるという仕組み。
ソウル市内36か所にこのQRコードを設置した結果、12,000クーポンが使用され、前月比で会員数が58%増を記録、ランチタイムの売上は25%も増加し、各種メディアでも大々的に取り上げられ大きな話題になりました。スマートフォンを活用して、顧客が喜ぶ接点を自ら創出し、実売にもつなげる素晴らしい取り組みです。
ギネス・ビール、世界初の「QRコードグラス」でBuzzを誘発
国名:アメリカ合衆国/業種:アルコール飲料/企業名:Guinness & Co./参考サイト(Ads of the World)
黒ビールでおなじみのギネス。ビールを注いでグラスの表面に特殊なQRコードを描くという企画。こちらのQRコードはグラスが空の場合や、普通のビールでははっきりと表示されず読み取ることができません。“ギネスの黒ビールで”グラスを満たしたときにはじめてQRコードがはっきりと表れ、スマートフォンで読み取ることができるようになるという仕掛けです。

QRコードを読み取ると、このユニークな仕掛けについて、「Tweet」「Facebookで共有」「foursquareでチェックイン」「instagramで写真投稿」のいずれかを選択して実行するように促されます。ソーシャルメディアを通じて拡散することで、お得なクーポンをダウンロードできたり、クーポンを友達にプレゼントして、今いるバーに招待することもできます。
思わず誰かに共有したくなるユニークなPRグッズ。楽しい仕掛けにより、体験した顧客を介してその友達・知人をバーに呼び寄せることにつなげるという巧妙な手法です。