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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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FEATURE

すべての広告人に捧ぐ!『2012年 世界の凄いプロモーション12選』

パート3:タブレット端末を駆使したユニークなプロモーション

 今年世界各地で本格的に普及し出したタブレット端末。このパートでは、従来のメディアとは異なるニューデバイスの特性を活かした事例を3種類紹介します。

iPadユーザーが凍りつく!
デバイス特性を最大限活かした電子雑誌のインタラクティブ広告

国名:ブラジル/業種:保険会社/企業名:Bradesco Seguros Insurance/参考サイト(I believe in Advertising)

 iPadで電子雑誌を読むと、ページ送りは当然指でスライドすることになります。今回の企画ではページを何枚もスライドしていくと、かっこいい自動車が全面に表示されます。ところが、そのまま次のページへと右から左にスライドすると、なんと車体がディスプレイの左端に衝突! 車のボンネットがひしゃげてしまいます。画面にはすかさず保険会社のロゴとともに、「あなたの不注意で予期せぬ事故が起こります。そんなときのために自動車保険で適切なプランに入りませんか」というメッセージが表示されるという仕掛け。

 iPadというデバイス(メディア)の特性と、人間の行動を逆手に取った見事なインタラクティブ広告です。

“傷の痛みを忘れさせてくれる” バンドエイドの心躍るARプロモーション

国名:アメリカ合衆国/業種:医療品/ブランド名:BAND-AID/参考資料(YouTube)

 子供たちに大人気のキャラクター「マペット」柄の特製バンドエイド。こちらのバンドエイドをiPadで子供たちがスキャンすると、AR技術によりiPadのディスプレイにカーミット(カエルのマペット)が飛び出してきて、子供たちを楽しませてくれるという仕掛けが施されています。iPadを傾けると、それに合わせてブランコで揺れながらギターの演奏を披露してくれます。

 一般的にバンドエイドを使用するシチュエーションは、傷ができて痛くて、気分がへこんでいます。そんなときに大好きなキャラクターがバンドエイドから姿を見せてくれることで、ワクワクして痛みを忘れさせてくれるというコンセプトになっています。

高級車「レクサス」、iPadと重ねることで真価を発揮する雑誌広告

国名:アメリカ合衆国/業種:自動車/ブランド名:Lexus/参考資料(YouTube)

 パッと見はLexus ESが写った何の変哲もない雑誌広告。このページの裏側にiPadを敷き、真ん中に透けて見える動画再生ボタンをタッチすると、専用のコンテンツが起動。印刷されたページと重ねて見ることで、あたかもヘッドライトが点灯したり、内装が透けて見えたり、猛スピードで走行しているように見えるなど、Lexus ESの躍動感や華やかさが演出されます。iPadと組み合わせることで真価を発揮する新しい形態の雑誌広告と言えそうです。

 実際に接触する人は限定的でしょうが、購買につなげるファクターの中で情緒的価値が占める割合の高いラグジュアリーブランドであれば、こういったコミュニケーションも効果的なのかもしれません。

パート4:今年大ブレイクした「Pinterest」を舞台にしたプロモーション

 2012年、世界的に大ブレイクしたソーシャルメディア「Pinterest」。アメリカでは“Webサイトへの送客効果”ですでにTwitterと肉薄しているとすら言われており、マーケティング担当者にとって無視できない存在になりつつあります。このパートでは、Pinterestを活用したプロモーション事例を2種類紹介します。

 まずは、気に入った写真を共有するPinterestを活用したマーケティングで、一般的に相性が良いと言われる旅行関連のケースからひとつ紹介します。

イギリスの航空会社によるPinterestを活用した懸賞プロモーション

国名:イギリス/業種:航空会社/企業名:bmi/参考サイト(psfk)

 プロモーションのコンセプトは、Pinterestを使った「ロトくじ」。英国の航空会社bmiはPinterestの自社アカウントに、同社が運航する都市6地域(ベイルート、ダブリン、モスクワなど)の専用ボードを用意し、各地域で9枚、合計54枚の観光写真を公開。

 これら54枚の写真には1から54まで番号が記されており、Pinterestユーザーは、この54枚の写真の中から自身が気に入った番号付の写真を最大6点まで自身のボードにRepin(リピン)します。そして、bmiはプロモーション期間中毎週末に1~54までの数値の中から当たり番号を1つ発表。当たり番号をリピンしていたユーザーの中から抽選で1名に、行き先指定可能な往復ペア航空券をプレゼントするという企画です。ユーザーが気に入った観光地の写真をリピンするだけという直感的に参加できるハードルの低さが特徴と言える企画。

 続いては、Pinterestとあまり相性が良くないと思われる「写真で商品の魅力をアピールできない商材(業種)」による、素晴らしい成果につなげたプロモーション事例です。

生理用品ブランドによる、ユーザーにとことん寄り添うPinterestキャンペーン

国名:イスラエル/業種:生理用品メーカー/ブランド名:Kotex/参考資料(YouTube)

 女性の生理用品ブランド Kotexは、ターゲットである女性に対して「私たちはあなたと常にそばにいて、あなたのことを理解しています」というメッセージを発信していくことをプロモーションの根幹に据えています。しかし、女性の関心事は当然千差万別。同社は「女性が自らの関心事を自由に気楽に自己表現ができる場所はどこか?」と試行錯誤し、最適なツール(場所)としてPinterestに白羽の矢を立てました。

 同社はまず、Pinterestで影響力のある女性ユーザー50名のボードを観察し、「何に興味をもっているか?」「どんなセンスの物が好きなのか?」「どのようなデザインのものに心が掻き立てられるのか?」といったことを綿密に調査します。

 そして、彼女たちの「好きなもの・好きなデザイン」を導き出して一人一人に手づくりのギフトを作成。同社はPinterestで各インフルエンサーが投稿している写真に、「Kotexはあなたのこういった自己表現の仕方が大好きです!URLの先にある写真(ギフトボックスの写真)をリピンしてくれたら、私たちならではの手法であなたへの想いを表現してみせましょう!」というコメントを残し、この写真をリピンしたインフルエンサーの自宅にギフトボックスをそれぞれ届けました。

 この施策の結果、Pinterestだけでなく、Facebook、Twitter、Instagramといったソーシャルメディアにギフトの写真やコメントがアップされ、コミュニケーションの総数は2284件、それらのインプレッション数は約70万PVに至りました。

 地道で手間暇がかかるアプローチ。ソーシャルメディア全盛時代にあって、このように「生活者の視点・目線に寄り添ってプロモーションに取り組む」ことが、ターゲットとの関係を良好に育むために、欠くことができない重要なポイントだと立ち返らせてくれるケースでした。

終わりに

 2012年の特選キャンペーン事例、いかがでしたか? 皆さんの「企画」の参考になるヒントを何かしら見つけていただければ幸いです。

 海外の広告・プロモーション事例をもっと数多く知りたいけど、英語はあまり得意ではないという方は、ぜひ私の運営しているブログ「ブログタイムズBLOG」もご覧ください!

 また来年も、ユニークな世界のキャンペーン事例をお届けしますのでお楽しみに!

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この記事の著者

山田 健介(株式会社PR TIMES)(ヤマダケンスケ (PR TIMES))

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MarkeZine(マーケジン)
2012/12/18 11:00 https://markezine.jp/article/detail/16744

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