SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

資産を活かしゼロから立ち上げ!ECスタートアップ実践講座

ECオーナーの二大課題!モール出店問題と利益率の悩みを解消する ─ ECスタートアップ実践講座

利益率の悩みを解消する

 ECショップにおける利益率についての悩みを解消するためのひとつ目のヒントは、利益のでる構造を正確に把握することです。利益試算や売上を構成する指標のシミュレーションにより、利益構造を正確に把握することで、数値の見通しをより具体的に掌握できるようになります。

 早速、具体的な試算方法を紹介していきます。

1. 各種手数料コストを加味した利益試算

 利益試算方法について述べていきます。なお、各種モールと自店舗でかかってくるコスト内訳は異なりますので、それぞれに応じた粗利および営業利益の試算を行います。

モール店舗の場合の試算例
  • 月商ー商品・販売コスト(モール内での集客販促費・モールのシステム利用料・カード決済利用料・モール売上ロイヤルティ・商品仕入れ)=粗利
  • 粗利ーその他費用(モール運営にかかる人件費や諸費用)=営業利益
売上ーコスト=利益試算の図(モール店舗の場合)
売上ーコスト=利益試算の図(モール店舗の場合)
自店舗の場合の試算例
  • 月商ー商品・販売コスト(独自集客販促費・ショッピングカートASP利用料・カード決済利用料・商品仕入れ)=粗利
  • 粗利ーその他費用(自店舗運営にかかる人件費や諸費用)=営業利益
売上ーコスト=利益試算の図(自店舗の場合)
売上ーコスト=利益試算の図(自店舗の場合)

2. 「集客→購入」までの歩留まり計算

 続いて、ユーザーの訪問から購入までのステップの歩留まり計算を行います。

 歩留まり計算として、「訪問→回遊→カート投入→購入」のステップで何パーセント、各工程で離脱するのかを把握します。売上を計上するまでに必要な訪問数などを把握しておくことで、目標売上を達成するために必要な集客数を試算しておきます。これにより確保すべき顧客集客数の具体的な数値シミュレーションが可能となり、集客施策の判断のベースとすることができるようになります。

 また、直帰率や回遊離脱率(非直帰だが購入までいたらなかったユーザーの率)についてもトレンドチェックした上で、改善点の抽出にもつなげていくとよいでしょう。

集客から購入までの歩留まり計算の図
集客から購入までの歩留まり計算の図

3. 単価・点数・回数とリピート指標

 最後に、各顧客の一人あたりパフォーマンス・購入累計額を形成する「商品単価、購入点数、購入回数」の指標を把握していきます。また、リピート関連の指標であるリピート継続率・定期購入率も数値管理および目標のシミュレーションを行います。

単価・点数・回数とリピート指標の図
単価・点数・回数とリピート指標の図

 いかがでしょう。

  1. 各種手数料コストを加味した利益試算
  2. 「集客→購入」までの歩留まり計算
  3. 単価・点数・回数とリピート指標の把握

 1、2、3、をそれぞれ数値把握することにより、ECショップの数値的な構造がわかるようになり、未来予測も立てやすくなるのではないでしょうか。1によって、どれだけ売上たらどれくらいの利益が残るのかを知り、2によって、見込み客を何人集客すれば、何人が購入してくれるのかを把握し、3によって、単価・点数・回数について購入者一人あたりのパフォーマンスがどれくらい出せるのかの傾向を掴むことができます。

 これらの数値・構造の把握によって、利益をより生み出すためにテコ入れすべき部分、弱点が具体的な指標として浮かび上がり、利益見通しも立てやすくなるのではないでしょうか。

 次回の第4回では、「競合・業界を知り尽くす」をテーマに、ECスタートアップの際のヒントをお届けしたいと思います。ご期待ください。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
資産を活かしゼロから立ち上げ!ECスタートアップ実践講座連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

野口 竜司(ノグチ リュウジ)

株式会社ZOZOテクノロジーズ VP of AI driven business 文系AI人材として様々なAIプロジェクトを推進。AIによるビジネス推進とAIネイティブ組織作りに力を入れている。大学在学中に京都発ITベンチャーに参画し子会社社長や取締役として、レコメンド・ビッグデータ・AI・海...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2013/01/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/16758

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング