利益率の悩みを解消する
ECショップにおける利益率についての悩みを解消するためのひとつ目のヒントは、利益のでる構造を正確に把握することです。利益試算や売上を構成する指標のシミュレーションにより、利益構造を正確に把握することで、数値の見通しをより具体的に掌握できるようになります。
早速、具体的な試算方法を紹介していきます。
1. 各種手数料コストを加味した利益試算
利益試算方法について述べていきます。なお、各種モールと自店舗でかかってくるコスト内訳は異なりますので、それぞれに応じた粗利および営業利益の試算を行います。
- 月商ー商品・販売コスト(モール内での集客販促費・モールのシステム利用料・カード決済利用料・モール売上ロイヤルティ・商品仕入れ)=粗利
- 粗利ーその他費用(モール運営にかかる人件費や諸費用)=営業利益
- 月商ー商品・販売コスト(独自集客販促費・ショッピングカートASP利用料・カード決済利用料・商品仕入れ)=粗利
- 粗利ーその他費用(自店舗運営にかかる人件費や諸費用)=営業利益
2. 「集客→購入」までの歩留まり計算
続いて、ユーザーの訪問から購入までのステップの歩留まり計算を行います。
歩留まり計算として、「訪問→回遊→カート投入→購入」のステップで何パーセント、各工程で離脱するのかを把握します。売上を計上するまでに必要な訪問数などを把握しておくことで、目標売上を達成するために必要な集客数を試算しておきます。これにより確保すべき顧客集客数の具体的な数値シミュレーションが可能となり、集客施策の判断のベースとすることができるようになります。
また、直帰率や回遊離脱率(非直帰だが購入までいたらなかったユーザーの率)についてもトレンドチェックした上で、改善点の抽出にもつなげていくとよいでしょう。
3. 単価・点数・回数とリピート指標
最後に、各顧客の一人あたりパフォーマンス・購入累計額を形成する「商品単価、購入点数、購入回数」の指標を把握していきます。また、リピート関連の指標であるリピート継続率・定期購入率も数値管理および目標のシミュレーションを行います。

いかがでしょう。
- 各種手数料コストを加味した利益試算
- 「集客→購入」までの歩留まり計算
- 単価・点数・回数とリピート指標の把握
1、2、3、をそれぞれ数値把握することにより、ECショップの数値的な構造がわかるようになり、未来予測も立てやすくなるのではないでしょうか。1によって、どれだけ売上たらどれくらいの利益が残るのかを知り、2によって、見込み客を何人集客すれば、何人が購入してくれるのかを把握し、3によって、単価・点数・回数について購入者一人あたりのパフォーマンスがどれくらい出せるのかの傾向を掴むことができます。
これらの数値・構造の把握によって、利益をより生み出すためにテコ入れすべき部分、弱点が具体的な指標として浮かび上がり、利益見通しも立てやすくなるのではないでしょうか。
次回の第4回では、「競合・業界を知り尽くす」をテーマに、ECスタートアップの際のヒントをお届けしたいと思います。ご期待ください。