2012年のSNS界隈をざっくりと振り返る
2012年ももう1週間ばかりを残すのみとなった。4月に始まったこの連載、ソーシャルなウェブサービスの動向をざっくりと眺めるという趣旨で、第1回はFacebookによるInstagram買収を扱った。ずいぶん昔のことのような気がします、と書くつもりだったのだが、Instagramの規約変更が炎上し、すごく現役感のある話題に立ち戻ってきていた。
スマートフォン写真アプリの代表選手であるInstagramがこれほど大きな存在感を示していることが、2012年のソーシャルメディア界隈を象徴しているのではないだろうか。主役プレイヤーとして前半はFacebook、後半はLINEが牽引したが、総じてスマートフォンシフトが急激に進んだ年だったと言えるだろう。
Facebookがスマホ施策を連打
2012年前半のクライマックスは、5月18日のFacebook上場(およびザッカーバーグ氏の結婚発表)だろう。しかし、ここまでまったく絶好調で、付け入る隙も無いように見えたFacebookだが、上場後は株価低迷に悩んだ。この要因のひとつが、スマートフォン対応の遅れが懸念されたことだと言われている。
しかし、問題を認識してからの対応はさすがに早く、スマートフォンのニュースフィードにもスポンサー記事を提供しはじめると、最終的に新規参入にも関わらず、携帯向けディスプレイ広告でFacebookがGoogleを抜いて全米1位となった(eMarketer調査、検索広告ではGoogleが圧倒的優位)。
加えて、通常のFacebookアプリをネイティブアプリ化して機能向上を図り、メッセンジャーやカメラといった単機能アプリもリリース。メッセンジャーはFacebookアカウントがなくても利用できるようにし(日本は未対応)、まるでジョークのようなPokeアプリまで出た。
- Facebook、開封数秒で消えるメッセージングアプリ「Poke」をiOS向けに公開(ITmedia エンタープライズ)
- 「Poke」通知サウンドの主はMark Zuckerberg、アプリのコードも書いた(TechCrunch JAPAN)
こうした積極的なスマートフォン施策が来年は株価にも反映してくるのか、注目されるところだろう。
TwitterとLINE
日本に目を転じると、国別のSNS利用率でTwitterがトップの座をmixiから奪取するという調査報告(MarkeZine)があり、コミュニケーションインフラとしてすっかり定着したことがうかがえる。
この調査で、Facebookでも自国サイトでもないサービスが1位を獲得しているのは日本だけ(そもそも日中韓を除けばすべてFacebookという寡占状態)。Twitterと日本はよほど相性が良いのだろう。なにしろ、公共放送であるNHKが連動ニュース番組「NEWS WEB 24」をスタートさせるほどだ。
一方で、今年は「Twitterがいつの間にか変わっていた」(岡田有花氏、東洋経済ONLINE)という記事が注目を集めたように、ツイート上のトラブルが増え、コミュニケーションが飽和している印象も強くするようにもなってきた。
代わって、2012年後半にポジティブな注目を集めたサービスがLINEだ。オープンすぎるTwitterに対して、極めてクローズドなLINEが台頭してきた、という見方は単純すぎるだろうか。この絶好調のまま2013年も突き進むのか、こちらも注目されるだろう。