「決済前」のユーザーの欲望を満たすサービス
まずユーザーがスマートフォンで買い物をしようとしたときに感じるのは、「他店の価格と比較してみたい」という衝動だ。スマートフォンなら比較サイトを手の中で確認できるから、店に行く途中に電車の中でチェックできる。
・スーパーで商品に付けられたバーコードをスマホのカメラで取り込むと、自動的に他店の価格と比較した最安値が出る
・電子チラシサイト「Shufoo!」でチラシを閲覧すると、Tポイントが貯まるサービスが登場
・店頭に貼られたステッカーやポスターにスマホをかざすだけで、その店のポイントやクーポン、キャンペーン情報などを知ることができる。ドラッグストアなど初めて入る店舗についての情報を補足できる
・GPS機能を利用することで、初めて訪れた街でも、どの店でクーポンが使えるのか、どんなキャンペーンをやっているのか簡単に知ることができる
・シミュレーション機能を使って支払いの前にリボルビング払いの金利やポイントを計算することができ、有利なものを選べる
・フェイスブック(米国)ではポイント優遇を実施。「いいね!」したサイトで買い物をするとポイントが優遇されたり割引になる
これまでのカードやフューチャーフォンでは、会員向けに漠然とキャンペーンを打っていればよかったが、スマートフォンになると、大量の情報を即座に処理でき、正確な場所の表示でき、より売場に直結したマーケティングが実現可能になる。
もちろん利用者のニーズも大きく変化し、スマホで決済するからには「必ずお得がついてくる」という意識がいま以上に強くなるだろう。店やカード会社はその「強欲」に付き合わされるが、生き残るためには、通らねばならぬ関門であり、その結果、ポイント、クーポン、割引き競争はさらに熾烈になる。
「決済後」のフォローでリピーター客を養成
その一方で、「決済後」のサービスもいろいろでてきている。決済後のフォローが、リピーター客を獲得するためには重要になってくる。何をどうアピールするかが課題だ。そのひとつとして、「くじ」や「スロット」の抽選で景品が当たるといったおまけサービスがあって、こちらも人気となっている。
・ローソンはドコモと組んでトルカくじを実施中。一定金額の買い物をすると、トルカくじを一回引く。当たる確率がかなり高いのでリピーターが増えている。「スマホのイベントを成功させるには、よく当たるようにするのがコツ」という。小さなお得をたくさん提供することで、多くの利用者を得て、リピートを望めるようになる
・決済後に利用控えをメールで送るカード会社がでてきた。韓国では、それを家計簿代わりに使うようになっているというが、日本でもスマホ決済が増えれば、同様の傾向がでてくるだろう
・決済後、ありがとうメールをだして感謝の言葉を伝えるとともに、使いすぎていた場合に、すぐにリボ払いに変えるようにアナウンスする決済サービスも登場。
・Gポイントが貯めたポイントを交換する新しい仕組みを作ってスマホ対応。アイコンを指で移動し別のアイコンに重ねるだけで交換が完了するというもの
このようにスマートフォン時代の決済回りは、がらりと変わる。加盟店をはじめ、銀行もカード会社も、決済時点・端末基点で考えないと追いつけなくなる。一方、利用者にとってはダイレクトにお得を訴求できるようになるので、さらにポイント、クーポンの知識を求められるようになる。知っていれば得をするが、知らないと大損するという時代がやってきた。スマホで始まる決済革命に勝利するために、各社は熾烈な争いを繰り広げている。次回は「端末基点マーケティング」の展開として、O2Oマーケティングと決済業界の盟主交代について語っていきたい。
