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ビッグデータ・マーケティング

ビッグデータ活用のためのIT投資、妥当なラインは? 外部・内部側から見た「付加価値」で考える


P/Lの構造から付加価値増大部分を可視化する

 下図「P/Lの構造」は、一般企業のP/Lの構造を単純化したものです。ビッグデータはITに関連するため、ここでは事業部門とIT部門に分け、IT部門をプロフィットセンターとして位置づけています。また、簡便のために製品そのものの調達・製造に関わる費用は変わらないものとします。

 まず、事業部門の付加価値を示すライン(粗付加価値を想定)は、売上から外部調達コスト(ここではIT関連コストとそれ以外を区別)を引いたところにあります。ここから各種費用(ここでは便宜的にマネジメント関連、マーケティング関連、IT関連人件費、その他に分類)を控除すると、営業利益が算出されます。付加価値の増大とは、図の「付加価値ライン」を押し上げることに他なりません。

 さて、問題はここからです。ビッグデータ対応によりIT関連コスト(調達費や人件費)は一般に増加しますので(図「主なP/Lの変化」:↑表示)、それを超えた効果の獲得が求められます。まず省力化の側面では、業務トランザクション・データ活用の精緻化などにより、調達・製造・物流・販売などの主要業務の内部オペレーション・コストを削減できる可能性があります。

 また、サプライヤーや顧客との関係づけの強化により、外部調整に関わるトランザクション・コストを削減することもできます。増力面では、ビッグデータ活用で直接・間接に売上増をもたらす可能性のほか、ノウハウの蓄積によりマネジメント力、マーケティング力、R&D力の強化などにつながります。このような組織能力の向上については金銭的な換算が難しいところですが、価値を生み出す競争力の源泉はここにあるともいえます。

 一方、事業部門のIT関連コストはIT部門の売上に転換されます。IT部門側は、外部調達コスト(外部ベンダーへのアウトソーシングなど)を控除したところに付加価値ラインがあります。省力化の側面では、ビッグデータ関連技術の適用により、データ1単位にかかるコストを大幅に削減することができます。

 また、新しい技術に習熟し、IT関連費のコストダウンに成功すれば、事業部門のコストアップ要因(IT関連)を緩和させることになります。増力化の側面では、事業部門と同様にノウハウの蓄積に伴うITケイパビリティの向上=組織能力の拡大に寄与します。

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この記事の著者

佐々木 宏(ササキ ヒロシ)

立教大学 経営学部教授。

筑波大学 経営・政策科学研究科修士課程、大阪大学経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。金融系シンクタンクにてマーケティング・リサーチ、経営コンサルティングなどに従事後、大学教員になる。マーケティング・リサーチ、データマイニング、eビジネス、IT産業の国際比較などが専門で、大...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/06/27 17:51 https://markezine.jp/article/detail/17201

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