世界のデータ解析事情、最新情報の宝庫「eMetrics」
2002年から始まった「eMetrics Summit」は、デジタル解析の最新動向を調査、標準化などを推進する非営利団体DAA(Digital Analytics Association)が中心となり、年間6~8回、アメリカ各地で開催されています。
毎回、デジタルマーケティング、デジタルアナリティクスをテーマとし、先進企業の取り組みや最新のテクノロジーが発表されるのですが、今回は、以下の6つのテーマでブレイクアウトセッションが行われました。
- Reach:ブランドの醸成、マルチチャンネルにおけるROIの最適化
- Mobile:モバイルに特化したウェブ戦略、解析の事例
- Tech:デジタルマーケティングを最適化するタグマネジメントシステム、解析ツール紹介
- Web:ウェブサイト、コンテンツ最適化、ウェブテストのベストプラクティス
- Search:SEO、キーワード、ビッディング戦略
- Social:ソーシャルメディア戦略、コミュニティの最適化
今年参加した企業は?
今回、ユーザー行動解析を得意とする2社がダイヤモンドスポンサーとして参画していました。
- ForeSee:カスタマーエクスペリエンス解析のパイオニア、継続的な顧客接点を創造する企業。顧客との接点を解析するツール、コンサルティングを得意としています。
- OpinionLab:先進的なVOC(Voice Of Customer)データの解析プラットフォームを提供。特にモバイルを積極的に活用する企業をはじめ、グローバル企業に多くの顧客を持つVOC業界のリーディングカンパニー。
そのほか、ComScore、webtrendsなどの調査会社やウェブデータ解析企業、タグマネジメントツール専門の企業Tealium、Ensighten、教育関連ではブリティッシュ・コロンビア大学、カリフォルニア大学がスポンサーとして参画していました。
2大テーマ「組織の構築」と「人材育成」
今回のサミットは、以下の2つの大きなテーマにまとめられます。
- ウェブ解析はデジタルデータアナリティクスへ
- データアナリティクスの高度化は、教育現場からはじまる
テーマ1:ウェブ解析から、デジタルデータアナリティクスへ
まずは、「デジタルデータアナリティクス」というテーマです。
このサミットを中心的に運営している「DAA(Digital Analytics Association)」は、かつては「Web Analytics Association」という名称でした。つまり「ウェブのアクセス解析」にフォーカスした団体だったのです。しかし、DAAは2012年3月に改称しました。今後アナリストは、ウェブだけでなく、さまざまなデータを解析し、ビジネスに必要な意思決定を支援していくことになると、同団体が予見していたからです。
筆者も、データ解析の領域、技術は2012年を境に次のフェーズへと大きく変化してきていると感じています。ウェブアナリスト、データアナリストやデータサイエンティストと呼ばれる人材に求められる役割や責任は大きく変化し、拡大することになるでしょう。
サミットでの1つ目のテーマは、まさにこのデータアナリティクスの高度化、領域の変化、人材に集約されると思います。
テーマ2:高度なデジタルマーケティング教育
2つ目のテーマは、教育現場におけるデータアナリティクスについてです。今回は、以下の2つのセッションが行われました。
- フェニックス大学における高度なデジタルマーケティング教育
- 教育現場における解析(教育現場における解析を3名の教授を交えディスカッション)
特にフェニックス大学の事例では、興味深い教育プログラムの紹介がありました。この大学では、データ解析、デジタルマーケティングに関わる学科、科目がすでに用意されています。ウェブ開発、ウェブデザインだけではなく、デジタルマーケティングが明確に体系化されて学習できるような教育プログラムです。
サミットでの2つ目のテーマとしてまとめるのであれば、データ解析教育の必要性、教育環境整備という点だと思います。