広告へのDMP活用例:リターゲティングとの違い
―MarkeZine読者の方も興味がある、広告へのDMP活用について教えていただけますでしょうか。

菅原:では、リターゲティングとDMPの活用の違いについて、ある旅行サイトを例にとって考えてみましょう。例えば「アメリカ」「ヨーロッパ」「格安」といったキーワードで、お客さんがサイト内のリンクやボタンを押したとしましょう。
リターゲティングの仕組みを使うと、ユーザーは「アメリカ」「ヨーロッパ」「格安」という3つのリターゲティングに属してしまいます。そこでは「アメリカ」「ヨーロッパ」「格安」の3つのキーワードのうち、そのユーザーにとってどれが最も優先順位が高いのかは、リターゲティングではわかりません。
一方でDMPでは、「アメリカ」「ヨーロッパ」「格安」のキーワードで、ユーザーが何を一番重視しているのかといったことを判断して、コミュニケーションを変えていくことができます。
つまり、マーケターはDMPのデータを判断材料として、どんなメッセージをユーザーに伝えればいいのかを決めることができるのです。そこにマーケターの意思が存在し、その判断や意思こそが重要になってきます。「どんなメッセージが、そのユーザーに最も刺さるのか」といったことを判断して、ユーザーとのコミュニケーションに活かしていくことができるのです。
枠買いのメディアバイイングと異なり、運用型広告はちょっとずつ改善をしていくように、常に判断をくだしていかないといけません。意思を持って決断するという仕事に、マーケターの仕事は変わりつつあるように思います。
横山:DMPを導入したブランド企業は、ユーザーをデータベース化して、そして最も適切なターゲットセグメント、あるいは新しいターゲットセグメントをつくり、それぞれに最適なメッセージを見つけていきます。
ターゲットセグメントと、それに対になるメッセージ。それは文脈とも言い換えることができます。これをどうやって作っていくかが、マーケターの基礎行動様式になっていくでしょう。
そして、この作業は、ブランド企業自身にしかできないことです。なぜかというと。これはマーケティング行為そのものだから。これをアウトソースすることはできないし、これが基点となるビジネスモデルが始まっていきます。