なぜ、このタイミングでDMPが注目されているのか
―今年になって、DMPという言葉を急に耳にするようになりました。なぜ、このタイミングでDMPが注目され始めたのでしょうか?
横山:去年はDSPが流行りましたよね。1インプレッション毎に広告を買い付ける、つまり「枠から人へ」という、大きなパラダイムシフトが起きました。そして、年始に2013年広告業界予測の一番目に提示したように、次に来る波がDMPです。
DMPには2つの概念があります。DSPの機能を拡張した、広告配信が目的のDMP、そしてもう一つは広告配信だけが目的ではない本格的なDMP(プライベートDMP)です。この2つのDMPの概念はシームレスにつながってはいますが、後者は商品開発への活用、そしてマーケティング装置そのものになる可能性があります。
DMPを導入すると、ブランド企業側の組織やスキルも当然変わります。端的に言うと、オーディエンスデータがマーケティングの通貨になる時代が来るかもしれない。つまり、マーケティングは顧客と未来の顧客をいかに分析できるかということと、それに伴って、広告は枠もののメディアプランニングからオーディエンスデータのプランニングに代わるということです。
そして、DMPはその基点となり、同時にマーケティングの作業をがらっと変える大きな転機となるツールです。他の仕組みもDMPによって、大きく変化するでしょう。
菅原:これまでは広告を出稿するにあたって、サイトの中を見ることはあまり重要視されてきませんでした。それが、サイトの中と広告をつなげながら見ようと考えるようになったのが、DMPが注目されるようになった始まりだと思います。
DMPの前には、サイトを解析するためのアクセス解析ソフト、そしてクリックからコンバージョンを判断する広告解析、この2つがありました。
しかしながら、この2つのツールでは、結局どれだけの人が見たのか、インプレッションも分かりません。サイトに来る手前と、来てからの動きを包括的にみれる仕組みがありませんでした。そこで、これらのデータをまとめようとしてできたのがDMPです。
DMPは、データを管理することが目的で、その目的のために、用途としてアクセス解析をする場合もあれば、広告を解析することもあります。そして当然、それらをまとめてみる用途もあります。なのでアクセス解析や広告解析よりも、もう一つ上の概念と思ってもらえればいいかと思います。