ビジネスとしての確立には時間が必要
続いてのディスカッションは、各パネラーに○×の札を持たせて、質問に回答してもらう形式で進行した。
まず、最初の質問は、「個人的にはGoogleをメインの検索に使っているか?」で、これについては全員が○を挙げた。その理由については、Googleによる検索の情報量が大きく違うことであった。また、自分達が開発している検索エンジンとは、そもそも検索の目的が違っていることを挙げた。
次の質問は、「自社の検索エンジンをビジネスモデルとして確立するのは難しいと思うか?」というもので、これも全員が○。その理由については、現在は、新しいビジネスモデルを構築するのに試行錯誤を繰り返している段階であり、収益が上がるモデルにまで持っていくにはもう少し時間が掛かるという現状を語った。
コーディネートにより、パネルディスカッションは進んだ。

続いての質問は、「自社のエンジンをメジャーサイトにして、広告収益を上げたいと思っているか?」
これについては、稲垣氏一人が×を挙げた。その理由について同氏は、「必ずしも自社ブランドでの提供にこだわっておらず、他社との連携やアライアンスなどの可能性も積極的に探っていきたい」と話した。一方、西川氏はすでに他社にOEMを行っていると話した上で、「エンジンの開発には多額のコストが掛かるため、その資金調達のためにも、まずは自社がある程度はメジャーになる必要がある」と語った。


次の「優秀な人材の確保は日本では難しいか?」という質問については、全員が×を挙げ、日本にも優秀な人材は、決して少なくはないと口を揃えた。
境氏は「個人でも優れたWebサイトを作成している人は多い」と話し、喜多氏もそうした人材の中からスカウトしたと明かした。西川氏も「類は友を呼ぶの言葉通り、口コミなどで自然と回りに技術に長けた人材が集まってくる」と話した。稲垣氏も、「成績の良い学生は、現在は大手のIT企業に就職しているが、今後は米国などのように将来の可能性に賭けて、ベンチャーを目指す優秀な学生が増加することを期待している」と語った。


最後の質問では、今後の検索やネットの将来について尋ねた。
西川氏は、「ケータイ検索ではPCにおけるGoogleやYahooのようなこれがメインという存在はなく、試行錯誤の段階であり、まだ新規参入の可能性はある」と話した。検索の対象について、境氏は、「情報大航海時代」プロジェクトに参加できた成果を語り、動画検索についてより深く掘り下げて行きたいと語った。稲垣氏は、「特定の話題やストーリーに反応する人達を多く集めて、新しいコミュニティ作りといった取り組みを進めてみたい」と語った。
検索と言えば、Google、Yahoo!というイメージがあるが、今回のセッションの登場した会社は、相当の技術力を持つ会社ばかりであり、当然、検索の新しい未来をみすえている。検索戦国時代に、新しい風を起こすことはできるか? 今後の動向も要注目だ。
