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石谷聡史と考える統合マーケティング・コミュニケーションの未来

「創造的なことには、リスクがあって当然」 ─ 原野守弘氏


 “IMC”、 “トリプルメディア”、“OtoO”など、マーケティング・コミュニケーションの統合を表すキーワードは時代ごとに変化をしていますが、その本質は実は変わらないのかもしれません。デジタルやテクノロジーが進展し仕事が細分化している今、幅広い視野をもって仕事を進めるためには、どのような思考を身につけると良いのでしょうか? 電通 プラットフォーム・ビジネス局 のコミュニケーション・プランナー石谷聡史氏が聞く本連載、初回はNTTドコモのWebCM「森の木琴」で世界を驚かせ、昨年秋に自身の会社「もり」を設立した原野守弘氏に迫ります。

今回お話を伺ったのは…
株式会社もり 代表/クリエイティブディレクター 原野守弘氏
経営戦略や事業戦略の立案から、製品開発、プロダクトデザイン、メディア企画、広告のクリエイティブディレクションまで、広範囲な分野で一流の実績を持っている。電通、ドリル、PARTYを経て、2012年11月、株式会社もりを設立、代表に就任。主な仕事として「NTT Docomo / 森の木琴」「Menicon / Magic」「Honda Green Machine」「BeeTV」「EPOS: 100 Design Cards」などを手がける。TED: Ads Worth Spreding 2012、D&AD: Yellow Pencil、カンヌ国際広告祭: 金賞、AdFest: 360 Lotus、Spikes Asia グランプリ、グッドデザイン賞 金賞、広告電通賞(最優秀賞)など、内外で受賞多数。
インタビュアー
株式会社電通 プラットフォーム・ビジネス局 コミュニケーション・プランナー 
石谷聡史氏

さまざまな企業の統合マーケティング戦略のコンサルティング・プランニング業務を行なう一方、コンタクトポイント・クロスメディア・PDCAなどマーケティング・コンバージェンスに関連する新しい手法開発にも従事。『クロスイッチ-電通式クロスメディアコミュニケーションのつくりかた-』(ダイヤモンド社)やクロスイッチを元にした英語書籍『The Dentsu Way』(McGraw-Hill)を中心となって企画・執筆。中国・韓国・タイでも翻訳本が出版される。

商品に向き合って、物語性を見出す

 ―― MarkeZineはデジタルテクノロジーを中心に扱っていますが、マーケティング自体は今デジタルを含めてあらゆる領域に目を配り、統合的に考えることが不可欠になっていると思います。この連載では、そんな視点を第一線で活躍するクリエイターやプランナーの方々から学ぼうと考えているのですが、初回はぜひ原野さんにと思ってお邪魔しました。

 それはありがとうございます、よろしくお願いします。

写真左:株式会社電通 石谷聡史氏、写真右:株式会社もり 原野守弘氏
写真左:電通 石谷聡史氏。写真右:株式会社もり 原野守弘氏

 ―― 原野さんは、90年代後半には電通でまさに黎明期のネットビジネスの部門創設メンバーだったんですよね。その後、所属を移されながらキャンペーンプランニングから事業の構築まで仕事の幅を広げられていますが、マーケティング・コミュニケーションの効果を総合的に高めるために、どのようなことを意識されているんでしょうか?

 以前、カンヌ(カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル)でスピーチをさせてもらったとき、「無駄のために無駄をつくるな」という話をしました。

 20年くらい広告業界で仕事をしていると、クライアントからオリエンを受けたとき、商品そのものがいまひとつだったり依頼内容自体が筋違いなんじゃないかと思ったりすることもたまにある。それはそれで受け止めた上で最善策を探る考え方もあるんでしょうが、僕はそれは「無駄のために無駄をつくる」行為なんじゃないかと思っています。

 ―― 「無駄のために無駄をつくる」。そのまま進めても意味がない、ということですか?

 そうですね。本来、商品やサービスそれ自体が優秀なら、少なくともローンチ時に広告しなくても勝手に広がっていきます。それを一番の理想の形として取り組むべきだと思うんです。オリエン時に「ん?」と感じたら、自然と商品やサービス自体にも踏み込んだ提案をすることになり、結果的に統合的にかかわることになる。

 振り返れば、僕の仕事の幅もそうやって広がってきたと思いますし、自分で会社を立ち上げたのも、商品やサービス、事業にまで踏み込んだところから広告までの一連に今後もフォーカスしていこうと考えてのことです。

 ―― そんな踏み込んだ発想で手掛けられた仕事には、どんなものがありますか?

 最近だと、メニコンのコンタクトレンズ「Magic」がそうですね。使い捨てコンタクトレンズは、レンズの形に合わせた凸型のパッケージが一般的だと思いますが、この商品はフラットな状態で保存できることが画期的な点だったので、それにふさわしい名前やデザインを改めて提案しました。元々、既に決定されているパッケージデザインがあったのですが、クライアントと相談を重ねて、現在のパッケージデザインになりました。

Magicのパッケージデザイン(出典:もり
Magicのパッケージデザイン

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この記事の著者

石谷 聡史(イシガイ サトシ)

株式会社電通 プラットフォーム・ビジネス局 コミュニケーション・プランナー

さまざまな企業の統合マーケティング戦略のコンサルティング・プランニング業務を行なう一方、コンタクトポイント・クロスメディア・PDCAなどマーケティング・コンバージェンスに関連する新しい手法開発にも従事。『クロスイッチ-電通式クロスメディアコミュニケーションのつくりかた-』(ダイヤモンド社)やクロスイッチを元にした英語書籍『The Dentsu Way』(McGraw-Hill)を中心となって企画・執筆。中国・韓国・タイでも翻訳本が出版される。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/10/29 14:11 https://markezine.jp/article/detail/17856

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