Facebookは「モバイル企業」となるために注力してきた
—— 日本では当初、実名制のソーシャルネットワークは日本では受け入れられないのではと言われてきましたが、先ほどの基調講演でストッドランドさんが紹介したように、Facebookの日本でのユーザー数は1900万人に成長しています。
ふたつ大きなポイントがあると思います。確かに実名のIDを持つことの価値が日本で受け入れられるには時間がかかると思っていました。しかし、一度そのメリットを見いだし、心地よく感じるようになると、非常にすばやく広がっていったのです。もうひとつ、日本はハイパーモバイルの国であり、どの国よりも長くモバイルを活用しています。私たちFacebookもモバイル企業になるべく注力し、それに向けた製品づくりを行なってきました。日本により適したものづくりや戦略をとってきたと言えるでしょう。
——スマートフォンは非常にパーソナルな端末です。そこでは検索で情報を取りに行くよりも、ソーシャルのフィードが流れてきて、それに反応するというのがしっくりくるように思うのですが。
おっしゃるとおりモバイルは非常にパーソナルなデバイスです。Facebookで自分の名前やプロフィールを明らかにする。自分の写真をアップし、考えを共有し、いろんな場所にチェックインし、レストランのレビューを共有する。そうしたことにモバイルは適しています。そして、さらにオープンに、ほかの人々とつながっていこうとするモバイルの進化の方向性は、私たちが目指すものと同じです。
それはビジネスにおいても同様です。ユーザーのロケーション情報は、ビジネスにおいて大きな意味を持ちます。モバイルならいろいろな場所で人々にリーチし、すばらしい経験を提供することができる。これがPCなら、地下鉄に乗っている人、ベッドに横になっている人にリーチすることはむずかしいでしょう。
——Facebookへのアクセスにおける、モバイルの利用はどのように拡大しているのでしょうか。
グローバルでもモバイルからのアクセスは急激に増えています。世界における月間アクティブユーザーがモバイルからアクセスした数は今年の第一四半期で7億5000万。1年前は4億8800万ということを考えると、その伸びは驚異的です。だからこそ私たちは日本でモバイルという観点から投資を行っているわけです。すぐに結果が出るとは思っていませんが、モバイルの歴史が長い日本に適したものをつくって、それを世界中に展開したいと思っています。
データドリブンな文化は私たちのビジネスの根幹
——日本でも関心の高いO2Oは、ネットからリアル店舗への送客を行うのがねらいです。しかし、店舗で商品をチェックしてネットで安く買う「ショールーミング」といった消費行動も見られます。
私たちは、オンラインでのマーケティングをオフラインのセールスに結びつけることについて、第三者機関をつかって科学的に分析しています。Datalogix社のパネルを使ってオンラインでのマーケティングに触れた人が、どのように購入を行ったのかを追跡調査しています。そして、実際にそのマーケティングに接触したグループと接触していないグループに分けて分析し、そこから非常に信頼性の高い測定値や施策を生み出しているのです。日本でのO2Oの状況についてですが、私たちは新たにeコマースと小売にフォーカスしたチームを迎え入れたので、3か月後にはもっと詳しくお話できると思います(笑)。
——そうした外部の調査機関との連携を行う一方、Facebook社自身もデータの分析と活用を積極的に行っていることで知られています。
まさに、Facebookはデータドリブンなカルチャーをもった会社です。さまざまな課題をデータによって解決するということは非常に興味深いこと。それができる企業が地球上に2つか3つあるとしたら、Facebookはまさにそのひとつだと言えるでしょう。データドリブンの文化はFacebookのビジネスの根幹、特性であると考えています。