「デザイン思考」っていったい何だろう?
みなさん、「デザイン思考」というのを、ご存知でしょうか?一部では十年以上前から注目されて来た思考法ですが、ここ数年、にわかに注目度が高まっています。「デザイン思考」は、ビジュアル・アイディアを考えたり、レイアウトしたりする、いわゆる「デザイン」とは別物です。デザイナーだけのものでもなく、あらゆるビジネスに関わる人、あらゆるプランニングに関わる人にとって重要な方法論だと言えます。
この連載では、3回にわたって「デザイン思考」について掘り下げて行きたいと思います。第1回は、そもそもどういうものなのか、どのように注目されているのか?について。第2回は、「デザイン思考」教育の雄、デンマークのカオスパイロットを取材してご紹介、第3回はこのカオスパイロットで「デザイン思考」を学んでいる日本人女性の姿を追って行きます。
「デザイン」のもう一つの意味
さて、もともとデザインdesignという言葉には、いわゆるデザイン以外に“ある役割、目的、効果のために何かを計画する”といった広い意味合いがあります。「デザイン思考」の“デザイン”も、こういった意味合いで使われています。
世の中で「デザイン思考」というものが広く認知されるきっかけとなったのは、アメリカのIDEO(アイディオ)というデザイン&コンサルテーション会社でしょう。IDEOは、シリコンバレーの一角、スタンフォード大学やヒューレット・パッカードなどで有名なバロアルト市にあります。アップル・コンピュータの最初のマウスをデザインしたことでも有名で、イノベーション開発に関する独自の方法論を展開しています。
そのIDEOの創業者の一人が、スタンフォード大学のデービッド・ケリー教授です。この教授がIDEOの経営を後進に譲って始めたのが、有名なd.school (ディー・スクール)です。従来型ビジネスを教えるb.school(ビジネス・スクール)に対してのd-schoolというネーミングであり、ロジカル思考に対しての「デザイン思考」というネーミングだと考えられるでしょう。