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EC・通販最前線

楽天との提携、カテゴリーキラーとして生き残るケンコーコムの挑戦

長かった医薬品のネット販売規制、チェーン店のネット参入は良いこと

 ケンコーコムを語る上で外せないのが医薬品のネット販売規制問題。遡ること09年。ネット通販の需要が年々高まる中、同年施行の改正薬事法に合わせて改正された薬事法施行規則(厚生労働省令)で、第1類医薬品(最も副作用リスクが高い医薬品)、第2類医薬品(その次にリスクの高い医薬品)のネット販売が一方的に禁止された。

 同年5月、ケンコーコムと同じく医薬品ECを手掛けるウェルネットは省令が違憲違法で無効だとして、国を相手取り提訴した。風邪薬や頭痛薬、妊娠検査薬など市場にある一般用医薬品の約7割がインターネットなどを通じて販売できなくなる大問題で、ケンコーコムにとって死活問題だった。

 これまで約4年に渡る経緯は省略する。医薬品ネット販売の再開を求め、ケンコーコムなど2社が国を訴えていた裁判は今年1月、最高裁判所が厚生労働省の上告を棄却、原告勝訴の判断を下したことで決着(参考記事)。ケンコーコムは判決を受け、同日に一般用医薬品のネット販売を全面的に再開。再開後1か月間、1日平均約1,600件の医薬品に関する注文が入っている。

 規制改革を進める安倍首相は6月、「インターネットによる一般医薬品の販売は、消費者の安全性を確保しつつ、しっかりしたルールの下で、すべての医薬品の販売を解禁いたします」と宣言。約4年に渡る国との戦いは、次のステージに移ろうとしている。

 後藤社長は「『どの』医薬品の販売を禁止するかという議論は終わった。『どのように』医薬品を安全に販売するのかを検討をする段階に移った」と話す。特定非営利活動法人日本オンラインドラッグ協会の理事長を務めている上で、「秋までにと言っているルール作りを早急に決めるように(国に)提案していく」と力を込める。

 こうした中、これまでネット販売に徹底抗戦していたドラッグチェーンがECに参入する意向を相次ぎ表明した。これまで医薬品のネット販売に首を縦に振らなかったチェーン業界がECに参戦。競争の激化が懸念されるが、後藤社長は「チェーン店も参入することで全体的に使い勝手が良くなるだろう」と歓迎する。

 ケンコーコムは薬剤師7人体制で顧客の相談などに対応している。こうしたことを踏まえ、消費者の支持を得るためには、サイト設立時から心掛けている「品揃え、サービス、価格」を徹底的に磨く考えという。「医薬品はサービスの中に、安心、信頼が購入動機の大きな割合を占める」(同)と説明。これまで蓄積したノウハウ、サービス力などで顧客の支持獲得に動き出す。

 後藤社長は「店頭とネットは補完関係。店頭では、個数管理などを通して販売効率が良いものにシフトしている。利益率を高めようとすれば、PB(プライベートブランド)の販売を進めていくだろう。面積が限られるのでそうせざるを得ない」と指摘する。

 面積が限られる店頭では、少数派のニーズは捨て去られていた。しかし、ネットは違う。「スペースに制約がないネット販売なら、そのニーズを拾いあげることができる。治したいという気持ちで来訪しているお客さまの気持ちに応えるために、より良いサービスを提供していかなければならない」(同)と気を引き締める。

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TAMA(タマ)

 流通系専門紙の編集に携わる。現在、サラリーマンをしながら、フリーライターとして執筆活動中。活動ジャンルはITと流通周り。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/08/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/18199

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