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EC・通販最前線

楽天との提携、カテゴリーキラーとして生き残るケンコーコムの挑戦

 安倍晋三首相が掲げる成長戦略の1つに掲げられた規制改革で、一丁目一番地に位置付けられていた医薬品のネット販売解禁。厚生労働省が唐突に規制を始めた09年から、医薬品や健康食品などのネット通販を手掛けるケンコーコムは、医薬品ネット販売の再開を求めて国と戦い続けてきた。安倍首相がネット販売解禁を明言したのは6月5日。医薬品規制に奪われたこの4年間の代償は、果てしなく大きい。正常な商環境が整い、新たなスタートラインに立ったケンコーコムの歩み、官との戦い、今後の戦略を追う。

「品揃え」「サービス」「価格」を追求

 ケンコーコムは医薬品や健康食品などを取り扱うネット通販業界の大手。13年3月期の売上高は179億200万円(前期比4.3%増)と過去最高を記録。08年3月期と比べると売上高の規模は約2倍まで広がっている。

 会社設立は94年。ダイレクトメールで健康食品を販売する事業として、後藤玄利社長が設立した。後藤社長の実家は大分県臼杵市に本社を置く家庭用医薬品メーカー「うすき製薬」。後藤社長は同社で扱っていた健康食品の通信販売を展開。5年ほど手掛けた通信販売は年間数億円の売上高まで拡大した。

ケンコーコム株式会社 代表取締役 後藤玄利社長
ケンコーコム株式会社 代表取締役 後藤玄利社長

 健康食品などのECサイト「ケンコーコム」を立ち上げたのは2000年。ITの台頭でネットが世の中を変えると考えるベンチャー経営者が増えていた時代で、後藤社長もその1人だった。その後、化粧品や日用品、医薬品の取り扱いを開始し、04年6月の東証マザーズ上場前には現在の「ケンコーコム」の基礎を築いた。

 取り扱う商材は医薬品や健康食品、日用品など。EC企業に加え、実店舗での競合も多い。これまで、どのように顧客の支持を得たのか。当時の後藤社長には考えがあった。

 「お客さまから支持されるには『豊富な品揃え』『心地よい顧客サービス』『適正な価格』という3つを満たさなければいけない」(同)。ECでは1カテゴリーで2~3社しか生き残れないという考えた後藤社長は、これまでこの3つの項目の実現に力を注いできたといっても過言ではない。

成長の源泉はロングテール、01年から商品点数の拡大に注力

 ケンコーコムの成長の源泉は「ロングテール」を採用したビジネスモデル。販売数の少ない商品が多く、その売上高が全体の売り上げの無視できない割合を占めるという法則だ。現在の商品点数は約20万点。現在は日用品など幅広く取り揃えるアマゾンも競合企業だ。

 ケンコーコムのECサイトの出発は失敗だらけ。「プロモーションをすればお客さまが来ると思っていた」(同)という後藤社長。湯水のようにプロモーションに資金を投下。結果、投資すればするほど損失が膨らんだ。

 そのような失敗から1つの明るい材料を発見することになる。1つ1つのプロモーションの成果は上がっていないが「全体の売り上げは伸びている」(同)。それはなぜか。「商品数と売り上げが相関していた」(同)。商品数を増やせば、売り上げが伸びるという相関関係を失敗の経験から発見したのだ。

 ロングテールという言葉がビジネスシーンに浸透し始めたのは03年頃。ケンコーコムは01年にはすでにロングテールビジネスを実践していた。当初は店頭で売れ筋の商品などを中心に取り揃えていたが、「ネットで商売をやっている意味がない」(同)ことに気付く。店頭はスペースに限りがある。店舗では取り扱っていない商品をサイトで販売すると、来訪者が増加。健康で安全上問題がなければ、売れ筋商品でなくても取り扱う――この方針で商品点数の引き上げに注力した。

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TAMA(タマ)

 流通系専門紙の編集に携わる。現在、サラリーマンをしながら、フリーライターとして執筆活動中。活動ジャンルはITと流通周り。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/08/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/18199

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