10代の約4割がテレビ番組を「とても好き」
――現在のテレビ×10代の関係について、お二人はどう見ていらっしゃいますか?
野田:メディア環境研究所が実施した調査で、10代の約4割がテレビ番組を「とても好き」と回答しています。10代はYouTubeやTikTokなどあらゆる動画コンテンツに触れてきていて、ある種目利きになっている。その中で、テレビ番組はネットのコンテンツと比べて企画のスケールが大きく、品質が高いので好きという声を聞きます。
加えて、コンテンツがあふれて話題が分散する中で、友だちと共有しやすいのはテレビなんですね。「推し」の文脈でも支持されていて、自分の推しがテレビ番組に出演するとうれしいようです。
また、番組をテレビ画面で見ているのは10代の8割程度、スマホで視聴する人が5割を超えています。スマホでコンテンツを見るときの選択肢にテレビ番組もしっかり入ってきていることがわかります。
薄井:10代がテレビを好きでいてくれているというのはうれしいですね。TVerのミッションが「テレビを時間と場所から解放する」なので、スマホでの視聴が伸びているのもありがたいです。実際に10代はTVerの認知度や利用意向が高いことが確認できています。
SNSで話題化、「追いかけ」視聴
野田:弊社の調査を見ても、TVerの新しいユーザー年代を見ると10代がやはり伸びています。「TVerを見ることが習慣になっている」という10代も35%と多かったのが印象的です。
薄井:地上波のテレビでもTVerでの見逃し配信を宣伝していて、知る機会も多いかと思います。そのため、10代はスマートフォンを初めて持った時に、気軽にアプリを入れてもらい、自然と広がっているのではないかと考えています。
野田:また、おもしろかった番組をTVerのリンクとともにSNSでシェアするようですね。特にドラマは、1話の視聴率がMAXで下がっていくというのがこれまでの通説でしたが、今は視聴者が増えていく現象も起きています。SNSで話題になっている番組を見逃しで見るという「追っかけ」視聴タイプも多くなっているのではないかと思います。
薄井:そうですね。TVerでは放送後1週間の見逃し配信が通常でしたが、現在、1~3話を常に視聴できるように設定している番組も多いです。2022年にフジテレビのドラマ『silent』などで常時配信を始めたのが最初だったと記憶しています。ダイジェスト版を用意されているドラマも多いので、後からキャッチアップする視聴スタイルが生まれたのではないでしょうか。