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2万部突破『戦略ごっこ』著者の芹澤氏が登場
田中:今回は芹澤蓮さんをお迎えしまして、芹澤さんの近著『戦略ごっこ マーケティング以前の問題』をベースに、お話できればと思います。こちらの書籍、既に2万部を突破されたそうで。いわゆるマーケティング本としては、大変なヒットを記録されています。
実はちょうど先日、私がリスペクトしてる2人の先生が別個の場所で『戦略ごっこ』を話題にされていたんですよ。「これは読んでおかないといけない」「ゼミでもみんなで一生懸命読んでいる」とお話しされていました。アカデミアと実務界の両方で話題になる本はあまりないので、その意味でも感嘆しています。
そもそも、芹澤さんはどういう考え・思いのもと『戦略ごっこ』をお書きになったんですか?
芹澤:マーケティング界には広く知られている定説・通説が多々ありますが、これらをデータで検証してみると、「実は事実ではない」「確かにそういうこともあるんだけれども、一般的にそうだと鵜呑みにすることはできない」というような結果になることが往々にしてあります。
たとえば、代表的なマーケティングフレームワークであるSTP。これは、あくまで市場の捉え方ないし思考のフレームワークであり、実際に起こっている物理現象ではありません。先人たちが物事を上手く理解するために仮説として置いた概念や枠組みが、あたかも現実の市場で起きている事実であるかのように誤認されてしまう――こういった問題がマーケティング界で多発していることを課題視していました。
言葉が独り歩きすると、事実と概念の境界線が曖昧になり、神話を現実と錯覚してしまう人が出てくる。こうしたことが、いわゆる「ごっこ」、ちゃんとした言い方をすれば「再現性の危機」に繋がっていくのではないか、という危機感のもと執筆しました。