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田中洋が紐解く、ビジネス成功のキーファクター

広報PRの大先輩に聞く、コーポレート「ブランド」コミュニケーションの勘所(前編)

 ブランド戦略論の第一人者であり、中央大学名誉教授でもある田中洋氏による本連載。第12回は、コーポレート「ブランド」コミュニケーションをテーマに鼎談を実施しました。ゲストは、日本IBMと横河電機でコミュニケーションに従事されていた瀬戸口修さんと、日立製作所、大日本印刷、キヤノンマーケティングジャパンでコミュニケーションを担当されてきた西田健さん。コミュニケーション領域の大ベテランであるお2人に、過去の話も掘り起こしながら、様々な話をしていただきました。

コーポレートで「ブランド」をどう発信していくか?

田中:これまで「企業広報」あるいは「企業ブランド」というようなテーマで議論されたことはありましたが、私の記憶ではコーポレート“ブランド”コミュニケーション(以下、CBSs)という視点で議論されたことはありませんでした。本日はCBSsのテーマを論じるためにふさわしいお二人をお呼びしています。

(左)株式会社日経リサーチ 客員コンサルタント 瀬戸口修氏(右)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 ブランドコミュニケーション本部 デジタルコミュニケーション企画部/公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構 副代表幹事 コーポレートブランド委員会 委員長 西田健氏
【左】瀬戸口&アソシエーツ 代表/株式会社日経リサーチ 客員コンサルタント 瀬戸口修氏
1987年、日本アイ・ビー・エムに入社。協賛イベント、宣伝、社内コミュニケーション、ブランディング、IMC業務などに従事。2013年から横河電機にて、同社創立100周年企画、コーポレート&プロダクトのリブランディング、マーケティングコミュニケーション、パブリックリレーション、デジタルマーケティングなどに従事。2024年より現職。
【右】キヤノンマーケティングジャパン株式会社 ブランドコミュニケーション本部 デジタルコミュニケーション企画部 西田健氏
1992年日立製作所入社。国内外の宣伝業務、ブランド戦略などを経験。2004年から日立グループのWeb戦略に携わり、コーポレートサイトの運営、ガイドライン策定、ソーシャルメディア公式アカウントの立ち上げなどを担当。2017年、大日本印刷入社。2019年、キヤノンマーケティングジャパン入社。ブランド戦略策定、デジタルマーケティング、オウンドメディアサイトの統括に携わる。また、公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構の副代表幹事も務める

 本日の鼎談のテーマは「CBSsの勘所を理解する」です。これからCBSsを手がける人に向けて、こういう問題にぶつかるから気をつけるといい、こういう点にぶつかったらこんな解決や手法がある、といったサジェスチョンをいただいたらと思っています。

鼎談の議題:CBSsの勘所

1.社内の意思統一:特にトップマネジメントを含めた社内の意思統一をどう図るか

2.メッセージ戦略:メディアプランニング・クリエイティブ含むメッセージ戦略に、事業会社の広報・宣伝部がどう関わるか

3.成果と評価の問題:CBSsの成果をどう測るか、KPIをどう設計するか

 という本題に入る前に……私が純粋にお二人に聞いてみたかったことからスタートさせて下さい。まずは瀬戸口さんから。瀬戸口さんは、日本IBMと横河電機でPR、ブランディングに携わっておられました。外資系と日系でコーポレートコミュニケーションにはけっこうな違いがありそうですが、いかがでしたか?

瀬戸口:まず、日本IBM、横河電機ともに、在籍当時の私の認識ということでお聞きいただければと思います。

 私は日本IBMには1987年から25年ほど、その後の横河電機には10年ほどおりました。1980~1990年代と言うと、まだIBMがコンシューマー向けのPC製品を展開していた時代ですね。1990年代後半になると、eビジネスというインターネットを前提としたビジネスモデル、今で言うDX領域が出てきます。時代の移り変わりとともに、様々な領域のコミュニケーションを担当していました。 

 振り返ると、IBMとしては、日本に土着した企業になりたいという思いが強くあったのだと思います。特に1980年代後半から1990年代前半は「ナショナルアセットカンパニー」という言い方をしていました。要は、外資ではないんだという考えですね。日本社会に必要な企業として認めていただくべく、文化スポーツ系のイベントへの協賛・共催、企業博物館の運営など、色々なコミュニケーションを行っていました。

 先生のおっしゃる通り、横河電機に転職をすると、今度は立場が逆になります。グローバルヘッドクォーターにガバナンスされる立場から、グローバルのヘッドクォーターとしてガバナンスを効かせる立場になったわけです。大きかった違いは、IBMは1980~1990年代にはナショナルアセットカンパニーを目指していたのに対し、横河電機はグローバルアセットカンパニーを目指していたこと。横河電機ではリージョンの協力も得ながら、コーポレートブランディング、社内コミュニケーションなどを実行してきました。

 また、横河電機ではブランディングだけでなく、デマンドジェネレーションやインサイドセールスも同じチームでやっていました。コーポレートキャラクターを作り出すブランディングと、マーケティングテクノロジーを活用して市場を捉えに行くデジタルセールスとの両方やらせていただいたのは、私にとっては大きかったですね。

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この記事の著者

田中 洋(タナカ ヒロシ)

中央大学名誉教授。京都大学博士(経済学)。マーケティング論専攻。電通で21年実務を経験したのち、法政大学経営学部教授、コロンビア大学客員研究員、中央大学大学院ビジネススクール教授などを経て現職。日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長を歴任。『ブランド戦略論』(2017年、有斐閣)など20冊の著書と9...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/02/19 09:30 https://markezine.jp/article/detail/47816

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