※本記事は、2024年3月刊行の『MarkeZine』(雑誌)99号に掲載したものです
【特集】人と組織を強くするマーケターのリスキリング
─ スキル習得と人材流動化の二本柱で考える リスキリングの定義と重要性
─ 専門知識だけでなく、幅広い領域の知見を持つ人材に。電通デジタルの人材育成方針
─ ファイナンス思考を持って、仕事の解像度を高めるための簡単でシンプルな方法
─ 本と現場、グロースX松本氏が見つけたリスキリングのカギ
─ ビジネスの常識が根本から変わっていくAI時代、「自分の価値」をどう見出すか
─ マーケターの転職市場動向から考える、キャリアアップに必要なリスキリング(本記事)
支援会社のデジタル人材確保の動きが鈍化
株式会社ホワイトグラッシーズ
代表取締役 CEO 野崎大輔氏
デジタル時代におけるサステナブルなキャリア設計を支援する白メガネ。広告・マーケティング・インターネットサービス領域専門の転職&副業エージェントや採用コンサルティングに従事。リクルートの人材ビジネス、博報堂DY系アイレップにてデジタルマーケティングの実務、転職エージェントでの事業責任者等を経て2021年に独立。YouTube「白メガネTV」更新中。
──数多くのマーケティング人材のキャリア設計支援をしている野崎さんにお聞きします。昨今のマーケティング関連の職種に対する企業のニーズはどのように変化していますか。
コロナ前は、広告会社などの支援会社を中心にポテンシャル採用が活発に行われ続けていましたが、現在その動きが鈍化しており、即戦力人材の採用ニーズが高まっています。
これまで10年以上、マーケティング領域のキャリア設計支援に携わってきましたが、企業の採用に対するハードルはここ10年で一番と言っても良いほど高くなっていると感じます。これまでは企業側が事業成長に伴い採用にアクセルを踏んでいる状況でしたが、直近は求職者のほうが多い買い手市場と言えます。
ただ、成長産業のマーケティングに関するオファーは増加傾向です。たとえば、DX関連の業務領域は採用需要に対して経験者の数が少ないことから条件の良いオファーが出やすく、未経験でもポテンシャル採用のチャンスがあります。その他にも順調に事業を伸長させているSaaS企業や、一部のコンサルティングファームのデジタル人材は採用を強化中です。
──求職者側のニーズは変化していますか。
消費財メーカーをはじめ、生活者になじみのあるブランド・企業のマーケターは常に人気があり、変わらず憧れの職種です。しかし、外部パートナーと連携している部分が多いため採用枠も少なく、新卒社員からも社内異動で人気のあるポジションのため、転職して入社するのはとてもハードルが高いと言えます。
そして、大きく変化したのは大手プラットフォーマーや外資のアドテクノロジーベンダーの人気です。給与面はもちろん、ステータスもあって転職先として高い人気を誇っていたのですが、2023年に複数の外資企業でレイオフがあった影響もあり、現在も採用を絞っている状況が続いています。