膨大な情報の中から必要な情報を拾い出す、次世代「UFOキャッチャー」とは?
近年「SNS」や「ソーシャルブックマーク」のように、「ソーシャル」と名のつくインターネットサービスが話題になっている。しかし、「ソーシャル」とはいったどのような意味や価値があり、どのように発展していくのか。また、今まで創られてきたGoogleに代表されるアルゴリズムに基づく世界とどのような関係になっていくのか。
冒頭に佐々木氏は、Web2.0という言葉の生みの親として知られるオライリー氏の「Data is the Next Intel Inside」という言葉を紹介し、情報(データ)こそが次世代のインターネットの本質であることを前提とした。その上で、膨大なデータの中から的確に有用な情報を拾い出す「UFOキャッチャー」のような役割やアーキテクチャが不可欠であると述べ、2つのレイヤーが連携し合ってこそインターネットの価値が高まると語る。
インターネットの急速な発展と影響力から、私たちはインターネットに膨大な情報が集まり、その量が人間を超えた時、人智を超越した何かが生まれてくるのではないかとSF的な発想をしてしまいそうになる。しかし、よく考えてみると人間の脳も膨大な情報があり、その情報と情報をつなぐニューロンがつながり合い、体系化されてはじめて「記憶」や「思考」が生まれてくる。
インターネットとて同じこと。いや、100億ページ以上あるといわれる情報は、ただそこに存在しているだけであり、人間のニューロンのように自動的につながっていくわけではない。つまり、人為的に体系化しつなげていく仕組みが必要とされているのであり、実際、インターネットの情報が有用となるのは、Coogleをはじめとする「情報を的確に拾い上げる仕組み」が存在しているからといっても過言ではない。
「情報の量」と「情報を拾い上げる仕組み」の2つのレイヤーのうち、これまでの経緯を見れば「情報の量」については、誰の手を借りずとも急速に増えていくことが想像できる。いわば進化の必然性でもあり、流れは誰も止めることができないだろう。
しかし、「情報を的確にマッチングさせる」「必要な情報を拾い上げる」といった部分は、個々が努力してITリテラシーを高めるか、どこからか便利な仕組みを探してきて使うかしかない。その紆余曲折は今にはじまったものではないが、まだまだ情報を拾い上げる仕組みについては十分とはいえず、どんどん膨大化するデータに備えて、これからいくらでも考えていく余地がある。
現在そのアプローチとして有効と思われているものとして考えうるのは2つ。1つはGoogleをはじめとするアルゴリズムに基づいた「検索エンジン」であり、そしてもう1つは「ソーシャルネットワーク」である。かつてのYahoo!が行っていたような手作業によるディレクトリ分類法も考えられるものではあるが、爆発的に増大するデータ量に対応できなくなっていることは誰もが知るところだ。