Googleの次の時代は「ソーシャルネットワーク」による情報収集が主軸に?
それでは、佐々木氏が「次」に来るものとして考えているものは何か。佐々木氏は4つのキーワードを取り上げ、次のように説明を行った。
キーワード1:メタバースの可能性
いわずとしれた「セカンドライフ」に代表されるような、3Diによりモーションキャプチャーと音声がコミュニケーションのインフラになる世界である。「セカンドライフ」については、「人もいないし、ITの先端をいく人々が牽引するよりも、ゲームオタクが牽引していることから一般化することは難しいだろう」と、佐々木氏は過熱気味の業界に対して牽制しながらも、メタバースの3Diという手法については大いに将来性を感じていると語り、マルチメディアSNSなどへの転用の可能性を示唆した。その際には、セカンドライフのような高スペックのPCが必要でハードルの高いものではなく、たとえばWiiのような簡便なものやGoogle Earthのようなインターフェイスで使用されていく可能性が高いだろうと述べた。
キーワード2:「秩序」から「つながりの社会性」へ
2つめは「つぶやき」を投稿してコミュニケーションを図る「Twitter」を取り上げた。「Twitter」では特に制約もなく、時空から解き放たれた状態で「つぶやき」を介しながら、ほのぼのとつながっていくというサービスである。
派手な商業的価値が見られないため、なかなか注目が集まらないとしつつも、佐々木氏はここにインターネットの次の可能性を見るという。つまり、社会学者の北田暁大氏の言葉を借りると、インターネットの価値は「秩序の社会性」と「つながりの社会性」にある。つまり、人は自分の利益になるものでなくても「つながりたい」という欲求を持っており、さらには時間や場所だけでなく「コミュニケーション圧力」といった制約を解除しようとする傾向にあるという。それをいかにビジネスに落とし込んでいくかがカギになるというわけだ。それを成功させた例として、ドコモの「携帯メール」や「モバゲータウン」を上げた。
キーワード3:レコメンデーションとの融合
インターネット上でソーシャルコミュニティが出来上がってくると、いわゆるアマゾンのようなアルゴリズムに基づいた「お薦め(レコメンデーション)」活動にも大きな影響を及ぼす可能性がある。こうしたレコメンデーションモデルに関しては、さまざまな日本企業が取り組んでいる。たとえば、「ゼロタウンコミュニケーションズ」のベイズ理論を活用したレコメンデーションエンジンや「チームラボ」の「セレクトウェア」などは、統計的な情報をさまざまに組み上げていくアルゴリズム的なアプローチに基づいたものだ。逆にアナログ的な口コミによるレコメンデーションは、「マイスペース」などのSNSではじまっており、若年層にボブ・ディランの曲がヒットするなど顕著な効果が上がってきている。
キーワード4:ウィキノミクスの実現
「ウィキノミクス」は集合知をいかにビジネス化していくかという、従来にもあったアプローチである。佐々木氏はレアメタルの企業が、鉱山の情報を提供して世界の有識者に探す方法を募り、成功した例を紹介した。そして、こうしたB2BでのアプローチがB2Cへと展開し、ユーザー利用からユーザー主導へ、そしてコンテンツからプロダクツへと展開するであろうことを予測した。その一例として、無印良品が消費者の声に基づいて商品を開発するという取り組みがあるが、日本ではまだまだ少ない。今後さらなる可能性が広がっているだろうと締めくくった。