「Rtoaster」が実現するユーザ側情報に基づくレコメンデーション
なお、ブレインパッドが開発したルールベース「レコメンデーションシステム Rtoaster」は、単純にアクセスログを訪問者単位で取得・保持するのではなく、各人のクリック行動をスコア化することにより、アクセスログ解析を行うというものだ。これによって膨大なログデータを圧縮し、サーバー設置型だけでなく、軽いASPサービスとして利用ができる。その他、既存のWebサイトにタグを入れるだけで容易にルールベースのレコメンデーション場所が指定でき、SEO対策などにも影響を及ぼさないなど、導入が簡単であることも大きな特徴だ。
訪問者はCookieで判別され、「訪問回数」や「総PV数」といったデフォルトの設定項目だけでなく、「メルマガAからの来訪」「前回アクセスからの間隔」といったルールを自由に設定でき、設定も結果も視覚的に表示されるので、マーケティング担当者が感覚的に操作が可能だ。

ただし、サイト側に明確なシナリオがあればルール設定は容易だが、確信が得られるルールをあらかじめ持っていないこともままある。「Rtoaster」であれば、そうした藐然としたルールであっても、ランダムに複数のコンテンツを表示させ、効果を検証することができる。また、同じエリアに対して複数のルールを持たせることも可能だ。
その際にはプライオリティを設定しておけば、高い順番に表示されるようになる。そうした細やかなルール設定の具体例として「サイト訪問回数」「検索キーワード」「流入元」「過去のスコア」「クリック傾向」といった活用例が示された。もちろん、他のメディアやリアルショップなどで得られた顧客データを活用することも可能だという。現在「Rtoaster」は2006年11月にリリース後、10数社に採用されている。その中から、大手通販企業である「株式会社セシール」の取り組みが紹介された。
最後に、こうした事例の中から効果的なレコメンデーションルールの策定について得られたノウハウの一部が紹介された。成功のポイントとしては、「サイト訪問者の「進化モデル」(コミュニケーション・シナリオ)を持つこと」「ルールよりむしろ顧客が求めているコンテンツを提供すること」「企業のマーケティング戦略と密接に連携していること」「スモールスタートではじめること」などが上げられる。いずれにしても、リアルなマーケティングの感覚を大切にすることが重要であり、ブレインパットはそこにツールとして役立つことで支援していきたいと締めくくられた。
