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検索連動型広告はこれからどこへ向かうのか

キャンペーン管理プラットフォームの歴史と変遷
―検索連動型広告はどのように進化してきたのか―

第一世代:自動で入札するだけのツール

 そこで登場したのが、検索連動型広告の媒体とAPIで接続し、入札単価を事前に決めたルール通りに変更するツール群です。APIとは Application Programming Interfaceの略称で、通常管理画面から行う各種作業をプログラム経由で自動化をする際に使われる、媒体社システムへ接続するための手法だとご理解いただければよいかと思います。

 GoToast(現Atlas Onepoint)社やKeywordMaxなど、クレジットカードでサインアップが可能で日本からも利用可能だったツールも多く、特に2003年ごろにリスティング広告に従事していた人は利用されたこともあるかと思います。

 ただし、これらのツール群はGoogleの検索シェアが急拡大した2005年頃から徐々に市場から撤退していくことになります。Google AdWordsの順位決定ロジックは、広告の品質を加味して決定するもので、Overtureのように単価だけで決まるものではありませんでした。それに伴い単純にCPCしかコントロールできなかった第一世代は、利用価値が徐々に減衰していったのです。

第二世代:ポートフォリオ入札

 そこで登場してきたのが2004年に設立されたEverest Technology社(その後のEfficient Frontier、現Adobe Adlens)です。金融工学の理論を取り入れ、単純に順位をコントロールするための単価調整ではなく、CPA/ROASを最適化するための単価調整機能(ポートフォリオ入札機能)を提供することでEverest Technology社は、従来まで存在していた自動入札ツールと差別化し、市場の中で急激に成長していくこととなります。

 また、「CPA/ROASを最適化するための入札」ということは、すなわち自動入札ツールそのものが効果測定機能を持つことを必須としました。第一世代のツール群の中にももちろん効果測定機能を提供していたものはありますが、効果測定というインプットCPCの変更というアウトプットが機能の両輪として機能し始めたのは、このポートフォリオ入札という概念が最初だったと言えます。

第三世代:キャンペーン管理ツール

 2007年、当時、Yahoo!の傘下にあったOvertureが、Panamaと呼ばれる検索連動型広告のプラットフォームを導入したことで、リスティング広告では単価だけで順位が決まる、というロジックはもはや皆無になりました。

 さらに2008年ごろから、リターゲティングやDSPに代表されるProgrammatic Displayと呼ばれる広告モデル、またfacebook広告など、成果を見ながら入札単価を調整するような、いわゆる運用型広告が同じ頃から急速に拡大を迎えます。

 このような流れの中で、第二世代のツール群の一部はポートフォリオ入札と効果測定以外に、アトリビューションも含む分析レポートや、時間のかかる入稿業務、設定作業などを簡便にする管理機能などを搭載します。代表的なところではKenshoo、Marin Software、AdLens、IgnitionOneなどは、もはや検索連動型広告の自動入札ツールという範疇を超え、運用型広告の管理プラットフォームへと進化・発展を遂げようとしています。

キャンペーン管理ツールが変えたもの

 日本においては、前回触れたような運用型広告における検索連動型広告の役割がまだ重視されていないという現状もあり、上記のようなプラットフォーム群は、いまだに代理店や社内の管理リソースの削減を目的としたもので、管理コストの削減に使う以上の理解が得られていないという現状があります。

 しかし、現実的に現在各社が提供している機能は管理コストの削減はもちろん、その機能を生かしたさらなる分析、パフォーマンスの改善を目的としたものに変わりつつあります。さらに複雑化していく運用型広告の中で、そういった機能を利用せずに最適化を実現することは、特に大規模な広告主ではもはや不可能であるとも言えるでしょう。

 特にアトリビューション分析においては、上記のようなツール群は広告接触の重み付けや、CPC調整・最適化の機能を提供しています。従来であればアナリストが膨大なレポートと格闘しながら、重み付けのモデリングを検討し、アウトプットしていた作業が半自動で実現することになっています。また、アトリビューションでなくとも、媒体の管理画面からレポートを抽出して手作業でまとめる、という作業を経ることなく、APIを経由して自動的にデータを取り込み、シンプルかつ必要充分な形で統合し、マーケターの意思決定をかなりのレベルでスムーズに実現。さらに、第三者配信と連携することでディスプレイ広告との検索連動型広告を一気通貫で統合管理できるプラットフォームへ進化しようとしています。

 次回は具体的にどのような機能が提供されており、どのような施策が実現できるのか、それによりどのような効果改善が期待できるのか、という部分について掘り下げたいと思います。

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この記事の著者

治田 耕太郎(ハルタ コウタロウ)

ライコスジャパン、アイレップ、オーバーチュア、クロスリスティングに勤務の後、KenshooのAPAC担当バイス・プレジデントに着任。2013年8月に退任し、現在は自身の通称でもあるsembearとして豊富な経験と人脈を生かし、AdTech企業の支援・コンサルティングを中心とした活動を行う傍ら、高度なテクノロジーと人の知見を融合させたデジタルマーケティングの重要性を説く。

鋭い洞察力から語られるBlog「検索エンジンマーケティング考」はSEMのみならず、日本のインターネット広告業に携わる人々から広く支持されている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/10/21 11:00 https://markezine.jp/article/detail/18577

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