「自動入札ツール」から「統合管理プラットフォーム」へ
前回、運用型広告における検索連動型広告の重要性と役割、および運用型広告全体を活用する中で、従来の効果測定ツールでは不十分であるという事実を説明しました。
かつては「自動入札ツール」といわれていたプロダクト群が、現在の米国では検索連動型広告だけにとどまらず、徐々に運用型広告全体の管理プラットフォームになりつつあります。今回は、「自動入札ツール」と言われていたプラットフォームの歴史に触れ、そういったツール群がどのように「統合管理プラットフォーム」へ進化しようとしているのかを説明したいと思います。
自動入札ツールとその背景
検索連動型広告が日本に上陸してから10年が経ちます。「日本の市場は米国の2~3年遅れている」ということがよく言われますが、特にこの「自動入札ツール」の分野に置いては、遅れというよりも、日本と米国ではまったく違う状況になっていると言っても過言ではないでしょう。
米国での自動入札ツールの歴史は日本のそれと比べても長く、各々のツールが独自の進化を遂げた市場を形成しています。まず日本と米国の比較をする前に、米国での自動入札ツールの歴史をひもといてみたいと思います。
米国における検索連動型広告の黎明期
自動入札ツールの歴史は米国で検索連動型広告が始まった当初、Overture社がまだGoTo.comといわれていた時代までさかのぼります。
当時の検索連動型広告は非常にシンプルで、今のような「広告グループ」といわれる考え方や「品質スコア」といったパラメータは存在していませんでした。単純にキーワードと入札単価、マッチタイプなど、アルゴリズムとは関係のない部分で掲載が決まっており、それでも十分に広告主にとっては活用するべき手法として普及が進んでいました。
もともと検索連動型広告は、
- クリックしたときのみ予算消化が発生する
- クリック課金額を自社で自由に設定できる
- キーワード単位でOn/Offが可能である
というその特性をもとに、どちらかというとWebでビジネスが完結する中規模から小規模な広告主の支持を受けて拡大をしてきました。ただ、そういった規模の広告主では検索連動型広告を自社運用するだけのリソースの確保ができないことも多く、入札単価だけで掲載順位が決定してしまうという仕様は、管理画面に張り付いての管理業務を生み、入札部分の自動化での需要は次第に高まっていきました。