この記事はユニバーサルアナリティクスを前提として執筆しました。旧Google アナリティクス(通称「ga.js」)では一部挙動が異なる点をご了承ください。
クロスドメイン計測の必要性
ドメイン・サブドメイン・ディレクトリ
はじめにおさらいとして、URLというものを振り返ってみましょう。第1回の連載の「URL」という章で解説した通り、URLは複数のパートで構成されています。
Webサイトを構築する場合、最初にドメイン名(e-agency.co.jp)を決め、次にサイトのホスト名を決めます。そして、実際に表示するコンテンツを整理しながら作成し、その内容に応じてパスを決めて行きます。なお、URLのパスはWindowsのフォルダのように階層化することができます。上記の例では「ab」というフォルダ(「ディレクトリ」と呼ぶ)の中に「cd.html」というファイルが存在する、という意味です。
用途や目的によって増えるWebサイトの数
Webサイトの数は運用組織や事業規模に比例します。当初は数ページの会社紹介で間に合っていたが、取扱う商品・発信する情報量の増加に伴って公開するページ数や機能も増えていきます。そうすと、求める情報が探しづらくなる・ブランドイメージを適切に訴求できない・検索サイトのランキングが上がらない、といった問題が出てきます。
これを解決するため、用途に応じてサブドメインを分ける、ブランドを訴求するようなドメイン名でサイトを公開する、というのは自然な流れです。キャンペーンのために独立したサイトを期間限定で公開することも珍しいことではありません。
また、Webサイトにブログ・eコマース・オンラインサポート、といった機能を追加する場合、既存のサイトを改修する手間を省くために異なるドメイン名・サブドメイン名を割り当てることが一般的ですし、サービスによっては異なるドメイン名を利用しなければならない場場合もあります。
このように、事業規模の拡大に伴いWebサイトも増殖します。弊社が解析をサポートしている企業の多くは少なくとも10以上のサイトを運営しており、なかには100を超えるサイトを運営している企業も存在します。
複雑かつ多様化する解析ニーズ
Webサイトが増えると、「サイトで紹介する商材を企画する人」「サイトのコンテンツを制作する人」「サイトへの集客を担当する人」、などサイト運営にかかわる人も増えていきますし、組織として複数のWebサイトが適切かつ効率的に情報発信・ブランディングを行っているかを監督する必要も出てきます。人や業務が増えれば、その達成度を測るための指標も増えていきます。
洋服と化粧品を扱う2つの通販サイトを運営する企業を例に考えてみましょう。洋服サイト・化粧品それぞれの担当者は自分たちの管轄するサイトの状況を知りたいでしょう。
宣伝担当はサイト全体の訪問者を増やすことで評価される、となると食料品・洋服といった切り分けは二の次かもしれません。営業担当からは、彼らが独自に立ち上げるキャンペーンサイトの計測を依頼されるでしょうし、その他、企業の管理部としてはIRや採用コンテンツへのトラフィックを気にするでしょう。企業の経営幹部には、2つの事業の相乗効果という視点で報告を上げることになります。
アクセス解析を組織に浸透させるためには、各担当者たちの業務に活用できる数値を簡単に取り出せるための準備が必要となります。多様化したニーズに合わせた解析設計こそ、すべらないGoogle アナリティクス導入の第一歩と言えるでしょう。