ROIに責任をもつ一方で、重要なデータにアクセスできないジレンマ
水嶋:では3つ目は、ROI(投資対効果)について3つの観点から行った調査です。ひとつは「上司はデータに基づいた成果報告を期待しているか」という設問で、8割の方が「そう思う」と回答しています。多くのマーケターは、成果を数字で報告する必要に迫られているということです。
須藤・網野:なるほど、そうですね。
水嶋:次に、「ROIを把握しているか」という設問について。これは、Eメールマーケティングにおいては7割が「把握している」と答えた一方で、バナー広告、ライブイベント、SEOについては5割くらい、ソーシャルメディアに至っては6割以上が「把握していない」と答えています。
水嶋:最後に「マーケティングROIに対する責任と実態」について。8割が「責任を担っている」と答えた一方で、売上に関係するデータにアクセスできる方は3割に留まっています。つまり多くの方が「ROIに責任を持て、でもその測り方は自分たちで考えてくれ」と、はしごを外されている状況なのです。マーケターは、どのようなデータで貢献度を示すべきなのでしょうか。
須藤:会社の予算を使う以上、説明責任が発生します。でもROIを算出するためにコストがかかっては、元も子もありません。正しいかどうか分からないけど「まずはこれをROIとしましょう」と決めることが重要だと思います。決めるべきことを最初に決めておけば、ちゃぶ台をひっくり返されることも、足を引っ張られることもないでしょう。
水嶋:予算を与える側ともらう側、両者の期待値を先に合わせておくことが重要ですね。
網野:投じたお金に対する売上や効果を図るモデルを重回帰分析で作ろうとすると、年単位での時間がかかります。そのような時間とお金を投じられるのは一部の企業だけですし、かといってマーケティング担当者が3日徹夜すればいい、という話でもありません。成果は売上なのか顧客獲得なのか、それとも認知度なのか、を決めておけばいいのだと思います。
須藤:おっしゃる通りです。大切なのは、マーケターの時間をどこに使うのか、ということです。分析することに時間をかけるのか、行動を変えることに軸足を置くのか。私は後者が大事だと思います。
データ分析をしても、事業上の価値を生まなければ意味がない
水嶋:行動が生まれてはじめて効果があるということですよね。精緻な分析をしても、事業上の価値を生まないと意味がないと思います。では最後に須藤さん、ドーモの使い心地なども聞かせて頂けますか。
須藤:問合せに対するレスポンス状況、開発のリソース配分から最終的な損益管理まで、すべてをドーモで確認しています。使ってみて「良いな」と思ったのは、データがビジュアルで示されることです。
例えば、問合せへのレスポンススピードが上がっていたら、売上が上がる可能性がある。つまり、自分たちの活動とその先にある結果が、グラフなどで可視化されるのです。これらを出力して壁に貼ったりすると、社員のやる気につながる。私はデータ活用の最大の効用は「やる気」だと思っています。
網野:「ドーモ」は最高の遊び道具ですよ。「あれ?我が社にはこんな客層がいるのでは」と仮説が生まれたとき、すぐに自分で検証できます。データ担当の人に分析を依頼するのは心苦しいですが、自分で検証できると戦略も立てやすくなる。試行錯誤のための、最高のおもちゃです。
水嶋:これからもデータに振り回されず、上手く活用していきたいですね。今日はありがとうございました。
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