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マーケティングオートメーションの最新動向を探る

マーケティング自動化によって「マーケティング活動の主導権を企業に取り戻す」【中編】「IBM Enterprise Marketing Management」と「Adobe Marketing Cloud」

IBMのマーケティングオートメーションの強みは“総合力”

 マーケティングオートメーションで大事なのは、Unica Campaignなどを使って顧客をセグメント化し絞り込むことではない。自社に関連するすべての顧客に対し、何をするかが大事だ。オフラインでの接点しかない顧客もいれば、オンライン、オフラインの両方の接点がある顧客もいる。すべての顧客に対してどんな施策を行い、どのような効果があったかを自動でデータ収集できることが重要だ。そして、施策を打ってから結果が分かるまでに数週間、1か月と待つのではなく、少なくともメールを打った次の日には何人が施策に反応し、結果購入し、それで利益がいくら出たのかが分かる仕組みが必要となる。

 こう説明すると、セールスサイクル短いものだけがIBMのマーケティングオートメーションの対象かと思われるがそんなことはない。Unica CampaignではBtoCでセールスサイクルが短い企業の事例が目立つが、BtoBももちろん対象としている。とはいえBtoBには特有のマーケティングの考え方があり、それに適したデータ設計をすることが求められる。

 IBMのマーケティングオートメーションの強みは、このようにツール群が揃っていることだけではない。豊富なツール群を使って、マーケティングプロセス全体をサポートすることだ。これには、マーケティング予算管理も含まれる。実施した施策の効果を評価するツールは多いが、それと実際の予算を結び付け、最適化も行えるのがIBMのマーケティングオートメーションとなる。

 これは、たとえばデジタル化しにくいテレビや新聞などのマス広告について考えみると分かりやすいだろう。まだまだテレビCMの効果は高い。そこにどれだけ予算を投入するかの判断も、マーケティング担当者には重要だ。オンラインを中心としたマーケティングオートメーションだけを考えていてはマス広告を効果的に利用できない。デジタル化しにくいマーケティング活動も含めて予算管理面から把握できれば施策を適切に判断できるだろう。

 このように、総合力こそがIBMのマーケティングオートメーションの強みなのだが、IBMにはマーケティングの後プロセスをサポートするCRMやSFAのツールはない。その領域まで取り込むには、用意されている各種コネクターなどを利用し、既存システムと連携させることになる。

 最後にもうひとつIBMの強みを挙げるとすると、電通ワンダーマンやディレクタス、メンバーズなどマーケティングパートナー企業がいることだ。IBMにはSI系パートナーはたくさんいる。彼らはシステム連携や大量データの流通に強みがある。一方でマーケティングパートナーは、各業種で有効なマーケティング活動は何か、どのように分析してアクションに結び付ければよいかの判断や戦略をサポートする。これらはSIerには不足しているところだ。もちろんIBM自身にも製品特化したコンサルタントもいれば、システムに精通したエンジニアもいる。自社リソースに加えマーケティングパートナーがいることも、IBMの総合力として捉えられそうだ。

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クリエイティブとマーケティングの両輪を回すアドビ システムズ

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

ブレインハーツ取締役。AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに、その後雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在は、オープンシステム開発を主なターゲットにしたソフトハウスの経営とライターの二足の草鞋を履いている。DB Online チーフキュレーター。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/04/01 10:00 https://markezine.jp/article/detail/19478

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