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イベントレポート

実績以上に人格重視─サイバーエージェント藤田社長が語る「やる気を引き出す組織風土の作り方」


撤退ルールを設けたうえで新入社員を社長に抜擢

 組織に続いて紹介したのは「人事」。同社が取り入れている人事制度や福利厚生の仕組みを紹介した。 よく知られたものでは、役員数の上限を8名にする「CA8」がある。役員を8名に限定したうえで、役員改選がある2年に1回、1~3名を入れ替えることをコンセプトに始めたものだ。「現役の役員は不思議なほど一生懸命仕事をするようになった。20代でも抜擢する方針を掲げていたので、社内では、次の2名を目指して頑張るようになる。自分にチャンスがない場合でも、誰が外れるかを予想するなどして盛り上がることもできる。上が一生懸命働いていると下も働く。役員を対象とした人事制度だが、結果として、組織全体が活性化する施策になった」とした。

 社員を対象にしたものでは、2004年から行っている「CAJJプログラム(サイバーエージェント事業&人材育成プログラム)」がある。これは、新規事業を育成するためのプログラムで、Jリーグのディビジョンのように段階的な目標や予算を設け、新しい事業を行いたいもののチャレンジを支援していくもの。J5からJ1までのグループがあり、J1になるほど投資額も増えるが、昇格するにはグループごとに設定された目標をクリアする必要がある。

 「ポイントは目標と撤退ルールが決まっていること。目標があるのでモチベーションがでるし、撤退ルールがあるので、任されたはいいが途中ではしごを外されて腐るといったことがない。会社としても、新入社員をすぐ社長に据えることができるようになった。また、赤字の上限が決まっているので、事業撤退によるマイナスインパクトを織り込みやすくなった」

 そのほか、役員8人がそのときの"旬な人材"でチームを作り、1泊2日の合宿を行って中長期的な意思決定を行う「あした会議」や、社員のキャリア適正を月1回チェックして希望する部署への異動による適材適所を実現する社内キャリアエージェント制度などを紹介した。

 福利厚生については「2倍の報酬を払って中途採用した人材に辞められるよりは、人材を育てて会社を辞めたくなくなるほうにコストを払ったほうがむしろ安い」という発想で取り組んでいるという。会社から2駅内には月3万円の家賃補助がつく「2駅ルール」や、入社5年後はどこに住んでも月5万円の家賃補助が出る「どこでもルール」、入社5年後は毎年5日間の特別休暇がでる「毎年・休んでファイブ」などがある。

飲みニケーション、社内結婚を奨励「長く働ける会社がいい会社」

 3つの「社風」については、社内イベントの実施や、飲みニケーションや社内結婚の奨励、若手の抜擢といった取り組みを紹介した。 社内イベントとしては、半年に1回の社員総会で、活躍した社員を表彰するほか、何かイベントがあるたびに社内ポスターやトピックスメールを発信して、盛り上がり感を演出することに力を入れている。「とにかく演出が大事。社員総会は1回実施すると1000万円コストがかかるが、いい表彰式になれば頑張りを引き出せる。会社にとっては安いもの」とした。

サイバーエージェントの社員総会の様子
「社員総会は1回実施すると1000万円コストがかかるが、
いい表彰式になれば頑張りを引き出せる。会社にとっては安いもの」と藤田社長

 社員のSNS活用も基本的に自由で、藤田氏本人もオープンなブログで制度や施策の導入意図などを説明している。「納得がいかないまま働いているとモチベーションが下がる。自分のことばでオープンなブログに書くことで社員に納得してもらう」という。

 飲みニケーションも奨励している。「どんな組織もわだかまるもの。意思疎通ができるチームはなかなかできない。なんだかんだ飲みに行くと『そんなに悪いヤツじゃないじゃん』となる。何かプロジェクトを達成したら、飲み代も支給している」ほどだ。ユニークなのは、飲み会翌日は自動的に半休になる制度があり、それとセットで飲み代が支給されることだろう。

 社内結婚も多いという。「社員同士が結婚する会社は、安心して長く働ける職場」との考えがあり、会社としても奨励している。かつては、社内恋愛に否定的で「手を出したら左遷」といった雰囲気もあったという。だが、そのために、恋愛が地下活動化し、ぎすぎすした雰囲気になってしまった。その反省があるという。

  若手の抜擢については「ひるまない、といいつつ、やはりひるんでしまうもの。それをひるまずやることが大事」だという。1年目だろうと抜擢し、新規事業をまかせたり、子会社をまかせたりする。そして、それをやり続け、変化に慣れさせることが大事だという。若手の抜擢をはじめた当初は、「なぜ自分ではなく、彼なのか」と怒り出す社員もいたが、まかせることが常態化するようになってからは「今回はないが、次回は自分だ」と思うようになった。

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離職率が低い会社はいい会社か?

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この記事の著者

齋藤 公二(サイトウ コウジ)

インサイト合同会社

「月刊Computerwold」「CIO Magazine」(IDGジャパン)の記者、編集者などを経て、2011年11月インサイト合同会社設立。エンタープライズITを中心とした記事の執筆、編集のほか、OSSを利用した企業Webサイト、サービスサイトの制作を担当する。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/04/02 17:42 https://markezine.jp/article/detail/19570

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