TVネットワーク、映画、出版事業を展開する巨大企業Time Warnerから独立し、NYSEに上場したばかりのTIME社。同社の看板雑誌『TIME』誌が表紙に広告を掲載し、波紋を呼んでいる。
5月22日、AdAgeの記事"Time Inc. Starts Selling Ads on Magazine Covers, Breaking Industry Taboo"によると、TIME誌の6月2日号の表紙の下部に小さく、通信会社ベライゾンの広告が1行掲載されている。言われなければ気が付かないほど小さい広告だが、その持つ意味は大きいようだ。
American Society of Magazine Editors(ASME:米国雑誌編集者協会)が1982年から発表しているガイドラインの最新版には、印刷媒体のガイドラインとして「Don't Print Ads on Covers」という項目がある。そこでは、表紙は編集者と出版者のブランドの表明と位置付けており、広告は直接、表紙や背に印刷すべきではないとしている。
しかし、TIMEの6月2日号では、表紙下部の郵送用のラベルエリア(店舗で販売されるものはバーコード印刷エリア)に、ベライゾンのロゴとコピー、そして中面の広告掲載ページの番号が印刷されている。
先日発売された同社の看板雑誌のひとつ『Sports Illustrated』の水着特集号では、すでに背の部分にLexusの広告を掲載。Lexusのロゴと広告掲載ページの番号が印刷され、そのページを開くとLexusの広告を見ることができる。
AdAgeの記事では、こうした試みは過去にもいくつか行われているが、TIME社のような規模の名声を確立している出版社が踏み切るのは初めて。今回の広告掲載によって、これらの雑誌は、ASMEのアワードの対象から外れるのではないかと指摘している。
しかし、独立したばかりのTIME社にとっては重要な広告商品。今後は広告サイズを拡大し、主要な顧客に展開すると見られている。来年後半に拠点としてきたニューヨーク50番街を離れ、ロウアー・マンハッタンに移転するTIME社。気付かないほど小さい紙の雑誌の広告は、新しいビジネスへの決意表明なのかもしれない。
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