DMP運用にスピード感は必須
    取締役 兼
ホスピタリティ・マーケティング本部
本部長 清水 俊明氏
押久保:DMP導入と運用について、いくつかポイントがあるようですが、実際はどうでしたか?
清水:ZOZOTOWNは2004年にオープンし、2009年末にテレビCMを打って認知度を高め、新規顧客を大きく増やしました。ですが、一方でユーザーの急増によって、顧客一人ひとりとの関係が希薄になっているという危機感を持っていました。そこで、それまで顧客分析の基盤がなかったこともあり、2010年にプライベートDMPとクロスチャネルキャンペーンマネジメントシステムの構築に着手しました。
現在では、毎日140種類以上のパーソナライズドメールを配信するなどの施策に繋げています。DMP活用のコンセプトは従来の囲い込み重視のCRMではなく、弊社代表の前澤が提唱した独自のCFM(Customer Friendship Management)という「すべてのお客様と友達のような関係になること」に代表される顧客起点、顧客中心、顧客満足を掲げています。そうなると、定量データの分析だけでは顧客のライフスタイル、抱える問題点や潜在的に望んでいる価値を見出すことが難しいのでサービスデザインといった包括的なアプローチから顧客のインサイトに着目し、次の施策に活かしています。そこではPDCAのスピードが欠かせません。仮説検証を迅速に繰り返していく中で精度が高まるので自部門でプライベートDMPを随時開発、運用しています。
押久保:なるほど。ちなみに、組織的な工夫はありますか?
清水:ホスピタリティ・マーケティング本部内に分析者、プランナー、デザイナー、エンジニアがいるので、高速にPDCAを回せる組織になっていると思います。
押久保:ZOZOTOWNは大部分をマーケ側で賄える体制なんですね。
説得にはLTVやクロスセルの数字を提示
    オズモール マーケティング部
マネージャー 田沼 和義氏
押久保:OZmallはいかがですか?
田沼:2011年末にCRMシステムを導入し、データウェアハウスを構築しました。OZmallの予約サービスの提供は東京圏のみなので、レストランやホテルなどサービス単体では全国区のサイトにかないません。そこで「“かけがえのない女友達”(ユーザー)のさまざまなシーンに感動体験を提供する」ことをミッションとして、一人のユーザーにホテルやレストラン、ヘアサロンなど複数サービスの利用を促しています。そのための最適なコミュニケーションを、顧客データから探ることがDMP導入の発端でした。
先ほど横山さんから経営層への説得についての話がありましたが、ユーザーのLTVやクロスセルの状況などを数値で示し、導入の必要性を理解してもらいました。また、OZmall担当役員が元々のサイト立ち上げメンバーだったこともあり、CRMに理解があったこともスムーズに運んだ理由です。とはいえ、今年ようやくサードパーティーのオーディエンスデータとつなぎ、自社CRMとも連携して、これからまさに本格的な運用に乗り出す段階です。
