追加された5つのデータセット
では、各データセットについて個別に解説していきましょう。
「商品データ」と「払い戻しデータ」
ユーザーデータ以外の4つのデータセットの内、商品データと払い戻しデータは、同じく今回のサミットでローンチが発表された「拡張eコマース」機能と連動していることがレポート画面からわかります。「商品データ」は商品SKUをキーディメンションとした商品関連データを、「払い戻しデータ」はトランザクションIDをキーディメンションにして払い戻しのあった商品数や金額データなどをインポートすることが可能になっています。いずれも、従来のeコマース機能で取得できなかったり今回の「拡張eコマースの機能」と合わせて集計可能になったデータソースのインポート機能として拡張されているようです。
「拡張eコマース」機能は、従来のeコマース機能に加え、よりECサイト内のユーザー行動と販売への貢献を分析できるように、またサイト内プロモーションやクーポンの利用データなども取得できるように大幅に機能拡張されたもので、従来のアナリティクスでは計測・取得できなかった多様なデータをもとに集計・分析可能なレポートを実現しているものです(本稿テーマにおいては、「拡張eコマース」についての詳細解説は割愛します)。
キャンペーンデータ
キャンペーンデータは、これまでAdWords以外のキャンペーン計測で行われていた、いわゆる手動タグと呼ばれる広告計測用のパラメータ仕様に頼っていた流入計測が、新たに追加された「キャンペーンコード」というキーディメンションへの紐付けによって解決される方向性が示されたものとして期待されます。
膨大な数の広告のリンク先URLへの手動タグパラメータの付与作業が、もしこの「キャンペーンデータ」のインポートによって置き換えられる可能性があるのであれば、Google アナリティクスによるキャンペーン全体の計測と分析がより身近なものになると言えるでしょう。
コンテンツデータ
キーディメンションである「ページ」は、従来の「カスタムデータ」の中ですでに提供されていましたが、今回新たなデータセットとしてコンテンツデータが独立して追加されました。ここでは、ページURLに対して「記事の編集者名」や「記事タイトル」などを紐付けることでコンテンツ内容のレポート集計と表示が改善され、レポートの使い勝手が大幅に向上するものと思われます。
ユーザーデータ
最後にユーザーデータですが、これは「ユーザーID」をキーディメンションとして、ユーザー属性やCRMデータなどをインポートし紐付けることを実現したもので、本連載で解説してきたように「顧客データ」を保有する企業のデータ連携による主にリマーケティング広告活用においては“待望のキーディメンション”と言うことができるものです。ユーザーを軸に属性データを紐付けることによって、従来のアナリティクスデータだけではないユーザーデータを軸としたセグメントとリマーケティングリストの活用を実現するものです。
このように、今回の「データインポートVer2」における機能拡張の方向性としては、
- ユーザー
- キャンペーン
- eコマース
という3つの領域において、外部データの活用可能範囲が大幅に広がったと言うことができます。
今回のサミットでユニバーサルアナリティクスによって
実現される方向性が見えてきた
ユニバーサルアナリティクスへのアップグレードが進行している最中、今回のサミットでローンチや発表がされた新機能は、ユニバーサルアナリティクスによって実現しようとしている“データマネジメント”の方向性をより明確にするものであったと筆者は感じています。
Google アナリティクスの「アクセス解析」ツールからの脱却は読者の方々であれば周知のことと思いますが、次に向かうべく輪郭は今ひとつはっきりと示されていない部分もありました。しかし、いわゆる“ビーコン”以外の手段によるデータの取得範囲の拡張と、それらデータの取得方法の多様化と簡易化によって本連載で解説してきた「簡易DMP的活用」が次の輪郭としてより具体化されてきたと感じ取ることができます。
本稿では「データインポート」機能を中心に解説してきましたが、今回のサミットでは他の多くの新トピックとともに、Googleが考える真の“ユニバーサルアナリティクス”の姿がどのようなものであるのかを十分に感じ取ることができたと思います。
