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大元隆志のマーケター訪問記

店頭業務を変革する資生堂ビューティー・タブレット

店舗から得た情報を、商品開発やプロモーションに活用

――初めはコスト削減から始まったんですね。ビューティー・タブレットはコスト削減、業務効率改善が主な導入効果ということになるのでしょうか。

亀山氏:いいえ、違います。例えば、2013年7月には「メーキャップシミュレーター」というアプリを導入しました。これはお客さまの顔をカメラで写すと、目や口の位置を認識して、色々なメイクを試すことができます。これまでは新しい化粧品を試すためには、メイクを落としたりする時間がかかっていたのですが、忙しい方にも短時間で試していただくことができるようになりました。お客さまからも便利になったと非常に好評です。

 そしてこの様なアプリをうまく使うことで、お客さまに会話を切り出すきっかけにもなっているようです。店頭にタブレットが入ったことで、業務効率の改善のみならず、接客の質の向上、顧客満足度の向上にも繋がっています

亀山氏:他には、従来であれば店内の様子やお客さまの声を携帯電話で本社へ送信していたのですが、これもタブレット化されたことでカメラで売り場を撮影したり、業務の合間にレポートを送ることができるようになりました。報告業務がリアルタイムになったことで、より多くの情報が店頭から本社に届くようになり、商品開発へのフィードバックやプロモーション施策の判断材料に活用されるようになってきています。

 このように、ITが販売現場の最前線で、お客さまとの関係強化にも寄与できるようになってきました。また資生堂には、「ワタシプラス」というネットの仕組みもあり、ITでネットとリアル店舗をつないで相乗効果を高めるような取り組みもしています。

――なるほど、単なるコスト削減のITに留まっていないということですね。O2O的な取り組みが進めば広告コスト削減にも繋がるのではないかと思いますが、そういう狙いもあるのでしょうか。

亀山氏:「現場力の向上」が狙いですから、広告が果たす役目とは違うと考えています。

――ビューティー・タブレット導入によって現場からのフィードバック速度が向上したわけですが、情報システムの開発スタイル等にも変化はあったのでしょうか。

亀山氏:はい、「経営スピード」がますます求められる時代ですし、お客さまからのレスポンスも従来より早く得られるようになりました。開発スタイルもこういった速度に対応するために、従来のウォータフォール式ではなく、アジャイル方式で開発しています。これからもビューティー・タブレットの発展に向けて、やるべきことは山済みですが、これからも積極的に取り組んでいきます。

――開発体制から、オムニチャネル時代を先取りしたIT基盤、それを活かす社内連携、まさにこれからの企業のIT基盤のお手本のようなプロジェクトですね。今後が楽しみです。貴重なお話をありがとうございました。

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この記事の著者

大元 隆志(オオモト タカシ)

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 クラウドインテグレーションビジネス推進部 エキスパートエンジニア
国士舘大学 経営学部 非常勤講師

通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。現在はCASBソリューションのセールス開発・プリセールスを担当する一方で、国士舘大学 経営学部にて学生向けに企業におけるクラウド、モバイル利活用について講座を担当する。最新のIT動向や技術動向分析が高く評価され、ヤフーニュース、IT Leaders、ITmediaマーケティング等IT系メディアで多くの記事を執筆。所...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/07/14 14:00 https://markezine.jp/article/detail/20406

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