よりプロダクトと消費者が深くエンゲージするIoT目線での取り組み
直営店以外の小売チャネルや外部ECサイトがメインの販売チャネルとなっている商品の場合は、購買データと結びついたマーケティングを行うことがなかなかできません。
そんな中で、興味深いのは北米のコカ・コーラが昨年実証実験を開始したモバイルウォレットの取り組みです。NFC対応のAndroid端末に対応したIsis社のMobile Walletアプリを活用し、コカ・コーラのロイヤリティプログラムである“My Coke Rewards”と連携。ユーザーは、自動販売機に取り付けられたNFCリーダーにスマートフォンをかざすとポイントがたまり、10回の購入で1回無料となる等の特典が利用可能となっています。


また、IoT(Internet of Things)という切り口にもなってきますが、P&Gは2014年2月、Bluetooth 4.0へ対応した電動歯ブラシ「オーラルBスマートシリーズ」を発表しました。

専用のiOS/Androidoアプリに対応し、ユーザーの磨き方の癖などを補正。手動歯ブラシではできないレベルの指示により、毎日のケアをきめ細かくサポートするという、高い次元でのハードとソフトの融合系を提示しています。

O2Oからオムニチャネル、その先にあるマーケティングとは?
これまでさまざまな視点から、これからの消費の現場がどのようになっていくのかを、見てきました。しかし、リアルの現場に介在するテクノロジーである場合、重要なのはやはりあくまで現場だと考えています。
国内のオンラインサービスでは、最大規模のものでもMAU(1か月のアクティブユーザー数)は2500~3000万人レベルだと言われます。これらは単なる閲覧も含む数字であるため、課金や決済などの購買アクションを取っている人数はさらに少ないものと見られます。それに対してセブン‐イレブンの1か月の購買者数は2億人と言われています。
筆者も長らくデジタルサービスの現場に携わってきて、その盛り上がりと伸長は感じるものの、ことO2Oやオムニチャネルの現場においては、デジタルだけで実態消費を動かすことは難しく、やはりうまくリアルと連携して介在していかなければならないと日々感じています。企業の実現したいことと、ユーザーの利便性が高い次元で融合したときに、本当のO2O/オムニチャネルサービスが生まれてくるのだと思います。
おわりに
本稿をもって「O2Oからオムニチャネルへ」の連載は最終回となりますが、テクノロジーの進化とともに、新たなサービス、それに伴うテーマが今後も登場することと思います。また次の節目が来たところで、読者の皆様ともお会いできればと思います。ご愛読ありがとうございました。