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世界を変えるビジネスを生み出す「イノベーション教育」とは?

「日本の大企業の中で、どうイノベーションを起こすか」東大i.schoolのミッション


 本連載ではこれまで、世界を変えるビジネスを生み出す“イノベーション大学”として有名なフィンランドのアアルト大学の訪問記をお送りしました。世界中で注目されている「イノベーション教育」ですが、実は日本でもすでに幾つかの大学で活発に行われ始めています。今回は「東大i.school」の取り組みをインタビューとともに紹介します。

日本でも活発になってきた「イノベーション教育」への取り組み

 ウォークマンを最後に、日本では“世界を変えるビジネス”が生み出されていない。そんなふうに言われるくらい、この20年、日本のビジネス界にはある種の閉塞感が漂っていました。以前ご紹介した「デザイン思考」で有名な米国スタンフォード大学のd.school、そして今回の連載の第1回目と第2回目の訪問記で伝えたフィンランドのアアルト大学。実は世界中で注目されている「イノベーション教育」は、日本でも幾つかの大学ですでに活発に行われ始めています

 まさに今年2014年には、国も本格的に動き始めました。文部科学省がEDGEプログラム(グローバルアントレプレナー育成促進事業)を設定し、13の大学を取組機関として選定、予算も配分することになり、今回取材した東大i.school、そして次回お伝えする予定の慶応SDMも、その一部に選ばれています。

 EDGEプログラムの概要には「我が国におけるイノベーション創出の活性化のため、大学等の研究開発成果を基にしたベンチャーの創業や、既存企業による新事業の創出を促進する人材の育成と関係者・関係機関によるイノベーション・エコシステムの形成を目的として」いると述べられています。

生き残る道は、日本らしい優れたモノやサービスを生みだしていくこと

 僕自身がイノベーション教育に興味を持ち始めたのは、実はi.schoolがきっかけでした。縁があって、i.schoolのあるワークショップに参加させてもらったのです。茹でる前のスパゲッティとタコ糸とセロテープとハサミを渡され、2~3名が一組になり、机の端からどれだけ遠くまで(どれだけ長くではなく机の端からの距離)スパゲッティを伸ばせるか競うというもの。もうお気づきでしょうが、単にセロテープで止めて長くすると先の方が重くなって垂れてしまうので距離は稼げません。その制約の中でどう工夫するかが勝負です。その時に参加した10チームほどの中で私が参加したチームは見事に優勝!その後も長くその記録は破られなかったと聞いています。

 さて、i.schoolとはいったい何なのでしょうか。2009年から本郷で主に大学院生を対象に、“東京大学i.school”はスタートしました。新しい製品、サービス、ビジネスモデル、社会システムを生み出す力を見につけるためのワークショップを開催しています。そして「世界的に漂う閉塞感を打ち破るのは、新しい価値を生み出すイノベーションしかありません。世界の人々が賞賛する、日本らしい優れたモノやサービスを生み出してゆくことが日本の生き残る道ではないでしょうか。そのためにはイノベーションを生み出すことのできる人材を育てることが重要です」ともウェブサイトでは述べられています。そして6年目を迎えた2014年度は、大学院生を対象とした“i.school通年生”で定員に対する応募が8倍となる程の人気の教育プログラムとなっているそうです。

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佐藤 達郎(サトウ タツロウ)

多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論/メディア論)。2004年カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK→(青学MBA)→博報堂DYMP→2011年4月 より現職。
受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アドフェスト、東京インタラクティブアドアワード、ACC賞など。審査員としても、多数参加。個人事務所コミュニケーション・ラボにて、執筆・講演・研修・企画・コンサルなども。また、小田急エージェンシーの外部アドバイザー、古河電池の社外取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/08/25 09:37 https://markezine.jp/article/detail/20560

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