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事例で探る!デジタル時代の「共創マーケティング」

商品開発だけじゃない! いま注目される「共創マーケティング」とは?

 最近「共創」という言葉を目にすることが増えた、と感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、一体何をすることが共創なのでしょう? 本連載では注目が集まりつつある「共創マーケティング」とは何か、事例を交えて紹介します。1回目は押さえておくべき「共創マーケティング」の基本的な考えを解説します。

共創=商品開発ではない

 共創マーケティングとは、企業が自社だけでなく他企業や生活者と共にマーケティング活動を行うことです。そのなかでも、生活者と共にマーケティングを行う事例が2014年になってから、特に増えてきています。例えば、マクドナルドはとんかつに合ったソースを生活者とつくる「とんかつマックバーガーの新ソース開発プロジェクト」を進めています。キリンビールでは、横浜・神奈川の若者と「はまっ子のためのビールづくりプロジェクト」を行いました。伊藤ハムでは、新商品の開発を行う「ハム係長の商品開発部」がスタートしています。

 これだけを見ると、共創マーケティングは「生活者の意見を聞いて商品をつくる手法」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。確かに、そのような場合もあります。しかし、それだけでは正しい認識とはいえません。まずは、共創マーケティングについて、次の2つの誤解を解いておきましょう。

共創マーケティング2つの誤解

 誤解1:生活者の意見=答え
 誤解2:共創マーケティング=商品開発

誤解1:生活者の意見=答え

 生活者は消費のプロではあっても、商品開発のプロではありません。生活者との対話で得るものが、そのまま「答え」となることもありますが、「ヒント」「仮説」「きっかけ」になることも少なくありません。それらをプロとしての視点でアイデアを発想し、決定するのは、企業の商品開発担当が矜持を持ち続けるべきところです。

 実際に筆者が生活者参加型の商品開発に携わった際も、最終的には、商品開発担当の仮説や想いによって商品がつくられました。このプロセスを体験して、参加者に広がったのは「自分たちの意見を聞いて、ここまでの商品に仕上げてくれたのはすごい!」という感動と、商品開発担当への尊敬の念でした。

誤解2:共創マーケティング=商品開発

 商品開発を行わなければ共創マーケティングとはいえない、と誤解されがちです。企業のマーケティング活動の一部として商品開発があるように、共創マーケティングでも、商品開発は価値共創活動における施策のひとつです。商品開発ではない共創の事例を紹介しましょう。

既存商品での共創事例:ネスレ日本

 既存の商品を職場に普及させるプロセスを生活者と共創したネスレ日本の事例です。ネスレ日本は「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」と「ネスカフェ ドルチェグスト」というコーヒーマシンを提供しています。同社には、このコーヒーマシンを職場に無償提供し、「ネスカフェ」の社内普及を生活者(この人をアンバサダーと呼びます)に行ってもらう「ネスカフェアンバサダー」というサービスがあります。

 アンバサダーに登録すると、無料でコーヒーマシンが職場に届けられます。また、コーヒーマシンに使用するカートリッジも、アンバサダーになると、市場最安値級で定期購入が可能です。一方で、アンバサダーには職場でコーヒーを楽しんでいる投稿や定期的なアンケート回答など、サービス向上のための協力を任意で求められます。これらの声から次のサービスを開発していく「共創」が行なわれています。

 通常、企業がオフィスなどに何かを設置したいと思った場合、営業マンを派遣して営業活動をしていく必要があります。しかし、「ネスカフェアンバサダー」は、営業マンを使わずにオフィスなど様々な場に「ネスカフェ」のコーヒーマシンを普及させた画期的な施策です。なお、このプロジェクトは、優れたマーケティング活動に贈られる日本マーケティング大賞に選ばれています。

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この記事の著者

宮本 昌尚(ミヤモトマサナオ)

 株式会社トライバルメディアハウス 共創マーケティング部 部長。アクセンチュアのITコンサルタントを経て現職。ソーシャルメディアの黎明期から、ソーシャルメディアマーケティングの戦略策定や、オウンドメディアのソーシャル化支援、リスク対策、国内外のFacebookページ構築運用支援のプロジェクトマネージャーを勤める。その後、共創マーケティング部を立ち上げ、コミュニティの戦略策定から商品の企画提案を担当。過去に担当したクライアントはキリンビール、KFC、P&am...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/08/22 12:00 https://markezine.jp/article/detail/20609

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