検索の本質は「データのインプット」にある
サイト内検索の会社が「サイトの外」へ出るということは、大きな変化ですよね。
山崎 サイトの外、というとき、そのほとんどは「広告」ということになると思いますが、ゼロスタートが手掛けてきた「検索におけるマッチングロジック」の本質は変わりません。そして、ゼロスタートは、検索の本質は「データのインプット」だと考えています。
今までは、検索条件を入れて検索結果を返す「リクエスト‐レスポンス」の考え方だった。けれど、検索の本質を「データのインプット」と考えると、その「アウトプット」がマッチングになる。今後はロジックの進化だけでは片手落ちで、インプットを強化したほうがはるかにマッチングの進化を加速できると思います。
インプットされるデータは、検索条件だけでなく、行動履歴やデモグラフィックデータ、商品情報の変化などさまざまなものが考えられます。たとえば「漫画の続巻が出た」というデータをインプットしたとき、広告や検索結果、メルマガやカート画面としてアウトプットされる。テクノロジー的には、これまでのノウハウが十分転用できます。国内ではあまりそういう事例がないので、そこを目指してやっていきたいですね。
ゼロスタートのテクノロジーが詰まったボックスにデータをインプットすると、さまざまなアウトプットが得られると。
山﨑 実は、いま注目しているデータが「レビュー」なんです。一例として国内ではエクスペリアンジャパンが提供する「Bazaarvoice」という米国最大級のレビュープラットフォームがあるんですけど、彼らはカスタマーレビューソリューションとして集まった評価・レビューを何に使ってほしいかっていうと、検索条件にも使ってほしいと考えているんですね。せっかく得た消費者からの評価・レビューですから検索条件に織り込まれるほうが、より消費者が求める検索結果へと向上すると。
Bazaarvoiceの面白いところは、デモグラフィックデータも取れる機能があるので、レビューを入力した人がたとえば「20代の男性」というのがわかる。評価項目も自由に設定できるので、宿だったら清潔度とか接客を設定して、満足/不満足を評価することができる。こうしたレビューとの連携も今後検索の役割がマッチングへと進化する過程において重要になってくると考えています。
アドテク企業と広告配信にも取り組んでいきたい
データのインプットを強化した先に、どういうアウトプットができるのかも模索中なのでしょうか。
山崎 アウトプットのところで「広告とつなぐ」というのが、うちにとっては大きいと思っています。前回のインタビューでDMPについてお話しましたが、あの頃からずっとやっていたことがようやく今かたちになりつつある。いまアドネットワークの会社さんと話をしています。
そうなると、新たな競合も出てきそうですね。
山崎 実はCriteoを導入してる企業は、ゼロスタートの検索エンジンの企業クラスタと、結構近しいんですよね。その意味ではCriteoは意識しています。今のところアドネットワークやRTBそのものに手を出す気はないので、アドテク企業と組むことになると思います。
「EC検索市場が小さく感じられる」というお話でしたが、EC市場の拡大を考えると、ゼロスタートの力を借りたい会社はこれからも増えてくると思うのですが。
山崎 ブランドでの行動データがリテール側で生かされる、あるいはその逆もあるかもしれません。ブランドサイトAとリテールサイトBで同じ商品を扱っている場合、まさにBazaarvoiceは商品同定を行い、Aで書かれたレビューをBにも表示することができるようです。私たちもそういったことをブランドのサイトとリテールのサイトの間でもできると思います。
マッチングの進化や広告への進出など、これから大きな変化が起こりそうな予感がしますね。
山崎 新しい事業を「マッチング」と言うのか、「プレディクティブ」と言えばいいのか模索しているところですが、そちらへ軸足を移していきたいと思っています。これからは、EC検索だけではなく、ゼロスタートが持っているノウハウを、集客や流入、もしくはリピートにも役に立ててもらいたいですね。
これからのゼロスタートに注目しています。今日はありがとうございました。
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