ネイティブ広告は作ったコンテンツをブーストするツール
ログリーのネイティブ広告のサービスを利用している企業は、どのような企業が多いのでしょうか。
吉永 大きく分けると、ブランド、BtoB、ダイレクトレスポンス。大きくこの三つがあって、BtoBはまだ少ないですね。ただBtoBは非常に可能性があると思ってるんです。
なぜかというと、BtoBの場合、決裁者と情報閲覧している人が別だったりする。そうすると、リターゲティングして情報を見たからサーバを1台買うということにはならない。もう少し情報を深掘りしていくようなコンテンツを通して訴求していくほうが、BtoBのマーケティングにはふさわしいんじゃないかと思う。そういう意味では、インバウンドマーケティングのようなオウンドメディアを作るやり方や、コンテンツマーケティングのほうがBtoBには適してるのかもしれません。
ただ、企業が作ったコンテンツはなかなか見てくれる人がいないので、そこをどうやって見せるのかといったときに、ネイティブ広告を活用してもらう。ネイティブ広告は作ったコンテンツに対して、必要なときにブースティングするためのツールとして機能します。
便利なだけじゃない。コミュニケーションも変えていく
これからログリーはどんなことにチャレンジしていくのでしょうか。
吉永 もともとテクノロジーを中心とした企業なので、ネイティブ広告においてもテクノロジーの側面を入れていきたいと思っています。例えば、RTBのような仕組みをネイティブ広告にも入れていくとか。海外ではすでに、ネイティブアドの領域の中にエクスチェンジというプレーヤーが出てきている。日本ではプログラマティックなものがネイティブ広告で求められるかは、まだ正直見えないとこではあります。
アドテクを使って便利にするのも大事なのですが、忘れてはいけないのが、ネイティブ広告もマーケティングの一手法である以上、マーケティングの側面も考えたプラットフォームにする必要があると思っています。
米国などでは、オープンなオークションでRTBを行うよりも、限定されたメディアとのプライベートエクスチェンジを選ぶメディアバイイング企業も出てきています。
吉永 今までのRTBでは、媒体とクライアントが一切コミュニケーションせずに自動取引で広告が表示される世界だった。プライベートエクスチェンジへシフトする理由というのは「その媒体に広告を出したいから」だと思うんですよね。そうなると、その媒体のことを一番わかってる人に直接聞けるような仕組みがあってもいいと思うんです。
RTBにしても、ネイティブアドにしても、アドテクベンダーから見たら仕組みでしかない。その仕組みをマーケターや媒体の人たちがいかに使えるものにするかは、プログラマティックだけで完結できるものではないと思っています。コミュニケーションに仕組みを入れていくことも大切ですが、ある意味、広告の掲載可否もコミュニケーションのひとつだったりすると思うんですよね。
そこまでは考えていませんでした。広告業界でのコミュニケーションのあり方も変わっていく必要があるのかもしれませんね。これからもログリーのチャレンジに期待しています。
参考資料:IABの「The Native Advertising Playbook」
・The Native Advertising Playbook(英語原文、PDF)
・IAB ネイティブアド・プレイブック(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムによる日本語訳、PDF)
ネイティブ広告を主要な6つのタイプに分類し、Form(形式)、Function(機能)、Integration(統合)、Buying & Targeting(バイイングとターゲティング)、Mesurement(計測指標)、Disclosure(広告の明示性)の6つの観点から分析している。広告主はブランドの目的と合致する広告タイプを選択・評価するため、これらの観点から検討する必要があるとしている。
ネイティブ広告の、“掲載環境の中で違和感を感じさせない広告”という性質を踏まえて、IABは広告であることをきちんと伝える「明示性の原則」を提唱している。また、最後の「結論」では、ネイティブ広告は、ディスプレイ広告を従来の広告枠の縛りから解放するとともに、ブランディング広告のひとつの最終形態と位置付けている。
インタビューを終えて
「ネイティブ広告」の考え方はクリエイティブ制作にどのような影響があるのだろうか? そう考えて、日本初のネイティブ広告のプラットフォームを立ち上げた吉永さんにインタビューしました。最後にコピーライティングに携わる人に向けた吉永さんのアドバイスを紹介します。
「ネイティブ広告がこれまでの広告と違うのは、わざわざバナーのような広告素材を用意する必要がないこと。枠そのものがコンテンツになる。あるいは、コンテンツのインデックスになるので、飛んで行った先の素材をうまく使えばいい。コピーを書くときに大切なのは、誘導枠としての広告より、その飛び先でのコピーをきちんと考えること。それができれば、必然的にそのコピーが枠側のコンテンツのインデックスになるんですよね」
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